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第25回 ネット猿から「熱血教師兼ルート」への華麗な変身



1997年2月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第25回 ネット猿から「熱血教師兼ルート」への華麗な変身

今回は、立命館中学校・高等学校 [注1] の教諭である脇田俊幸
(わきだ としゆき)さんを訪ね、学生時代から現在の職に就かれ
るまでのお話、立命館中学校・高等学校における情報教育などにつ
いてお聞きしました。また、数学科教諭で情報教育推進委員長の文
田明良(ふみた あきよし)さんにも、お話に加わっていただきま
した。

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[脇田俊幸さんからの新規コメント]

 物理的なネットワークを整備することはもちろん大切なことですが、
学校の内外に人的なネットワークを構築することが、トラブル解決の
一番の糸口になると思うようになってきました。

  それから、先日、久しぶりに出身大学の情報センターに行ってき
ましたが、多くの端末がUNIXからWindowsNTになっていて驚きまし
た。聞いてみると、「工学部の学生さんでも『UNIXなんていらない
じゃないですか』と言ってくる人がいるんですよ。」だそうで。で
もUNIXが廃れている訳ではなく、大学生協を覗いたら、
TurboLinux4.0やVine Linuxのパッケージが山積みになっていて、
ほっとしました。(しかも、大学でのインストール時の注意などが、
生協の人の手書きで貼ってあって、少し微笑んでしまいました。)

  出身大学の情報センターで、Windowsでの標準のMUAがMicrosoft
Internet Mailなのには、苦笑するしかありませんでしたが。

  それから、今回、本文中に書きこんだ新規注は、そのほとんどが
「脇田の個人的なコメント」で、学校としての正式なコメントでは
ありませんので、それを明記しておいてください。

(1999.8.12 脇田俊幸)
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*クモの巣にかかった新人生

私(以下Y):こんにちは。中学・高校へのルート訪問は初めてな
ので、ちょっとワクワクしています。この学校のネットワーク構成
や情報教育についてお聞きする前に、脇田さんのルート歴を教えて
いただけますか? 最近、ルートさんのルート歴にも興味を持って
いるもので……。先生になられたのが1996年の春だとお聞きしてい
ますが、その前までは大学院の学生さんだったんですよね。

脇田さん(以下W):はい。某大学理学部の、情報系ではない学科
の大学院生でした。まだ学部生だった’90年ごろにUNIXを使いだし、
UNIXのユーザーとしての知識を一通り身に着け、メールを読み書き
するようになりました。その後、研究室のMacintoshの世話をする
ようになり、大学院生だった’94年、研究室内のメール環境が立ち
上がったころから急速にネットワークにハマっていきました。

自分の専門分野の研究活動よりも、こちらの方が面白くなり、毎日
数時間、周りの目も気にせずネット・ニュースを読んだり、メーリ
ング・リストを立ち上げたり……その合間に諸々の作業(主に個々
のユーザーの教育)をする日々を送っていました。

Y:着実に伝統的な「ルートへの道!」を歩んでこられたようです
ね。

W:えっ? これが伝統的なんですか。

Y:私の勝手なイメージでは、「ネット・ニュースやメールに目を
通す合間に、諸々の作業をする」のが、昔ながらのルートさんの姿
なんです。

W:なるほど。私の場合、 ’95年ごろからはネット・ニュースと
メーリング・リスト以外にホームページにもハマり、就職活動する
時期になっても、やはり同じような日々を送っていました。何社か
面接を受けに行ったのですが、シャイで内気な性格のために、内定
がもらえずにいました。

 教授から「どうしてダメなんだ!」と怒られるのですが、どうも
初対面の人だと話したいことの10分の1も話せない性格なのです。
メールで就職活動したこともありますが、インターネットが注目さ
れる以前で、「電話の応対もできないやる気のない奴」としか見ら
れませんでした。いまでも、そういう風潮は残っているかもしれま
せんが。

 結局、卒業が決まった2月になっても、まだ就職は決まっていな
い状況でした。そのころ、何気なくNetscape NavigatorでNTTの新
着情報 [注2] を見ていたとき、本学の情報科目の教員の求人広告 
[注3] が目に付いたのです。応募の条件は、

   (1)中学校および高等学校の教員免許(教科は問わない)を取得
   または取得見込みの者

   (2)情報処理(ワープロ、表計算、通信)能力を有すること。また、
   MacintoshおよびWindows、さらにUNIXを扱えることが望ましい

   (3)満30歳まで

の3つでした。

 この条件をクリアしていたので、わらをもつかむ思いで応募し、
運よく採用されたというわけです。実は面接も、シャイで内気な性
格のためにボロボロだったので、「4月からどうやって暮らしてい
こうかな」とあきらめかけていたころに採用の通知が届きました。
[新規注]

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[新規注]  3つの条件

いやこの記事、いまだにNTTの新着情報に残っているんですよ。で
もこの辺をクリアする人は、もはやどこにでもいると思いますね。
(1999.8.12 脇田俊幸) 
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*充実したネットワーク環境

Y:こちらのネットワーク構成図を見ると、中学・高校とは思えな
い充実ぶりですね。

文田先生(以下F):基幹LANはATM(155Mbps)、端末は10BASE-T
で接続しています。5つの教室に合計240台のPC(うち、2教室が
Macintosh、3教室がWindows)を設置しています。また、すべての
教室、教員室に情報コンセントを設置しています。DNS、SMTP、
NNTP、WWWの各サーバー [注4] として、3台のSPARCstationを使っ
ています。外部ネットワークとは、立命館大学経由で接続していま
す。[新規注]


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[新規注]  ネットワーク構成

2000年4月を完成目標に、リプレース計画が進んでいます。カリキュ
ラムの都合で、LinuxもしくはFreeBSDもしくはSolarisの部屋が出
来ると思います。(1999.8.12 脇田俊幸) 
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W:少し前まではProxyサーバーが落ちまくっていたのですが、最
近何とか安定しました。また、「ネットワークに接続できない」と
いうヘルプがあって行ってみたら、内蔵モデムに電話線をつなげて、
ハブに差し込んでいたということがありました。これは、これから
頻発するトラブルだと思いますよ。コネクタ形状が似ていますから
ね。私自身、「何でつながらないのだろう」と思って、1時間ほど
悩みました。[新規注]


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[新規注]  頻発するトラブル

その他、頻発したトラブルとして、PCMCIAのネットワークカードの
尻尾が壊れまくるってことがありました。
直接ケーブルを差せるものの方が管理は楽じゃないかなあと思っています。
(1999.8.12 脇田俊幸) 
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Y:これだけのシステムだと、システム管理の方も大変でしょうね。

F:このシステムは、今年の7月、新校舎の完成と同時に稼働し始
めました。それまでは、小規模なLAN(3教室と3教員室)を数人
の教師が運用していました。今年の4月からは、脇田先生と業務委
託としてシステム管理の上原博之さんに常駐で担当してもらえるよ
うになり、非常に助かっています。もちろん、従来から管理を担当
していた私たちも、ルートになって作業をしています。

 実は、今年の6月に教員貸与コンピュータの予算が認可され、現
在、納入された80台の初期設定作業などに追われる毎日です。さま
ざまなインストール作業や操作マニュアルの作成、質問やトラブル
への対応など手間のかかる作業ばかりですが、全教員が力をつけて
いくことを目指して頑張っています。

Y:具体的にどの程度の設定をしてから、コンピュータを先生方に
渡すのでしょうか。

W:こちらで行う作業内容としては、「ワープロ、表計算ソフトの
インストール、イーサネット・カードの設定、TCP/IP [注5] の設
定とインターネット関連のソフト(Webブラウザ、FTP、Telnetなど)
のインストール、セキュリティ・ロックの設置、ハブの増設、教員
室の電源の増設」ですね。個々の機器だけでなく、設置する環境を
整えるのが大変でした。導入した目的は、教員自身が使用して授業
に積極的に導入し、学校全体の情報化につなげていくことです。

Y:公立の中学・高校だと、なかなかそうはいかないでしょうね。
100校プロジェクト [注6] に参加している学校の先生方が、いろ
いろと苦労しながらも、ネットワークを小・中・高の教育に活用さ
れている姿には感動します。[新規注]


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[新規注]  100校プロジェクト

100校プロジェクトおよび新100校プロジェクトは、平成10年度をもっ
て終了し、平成11年度からは、100校プロジェクトの成果を生か
しながら、ネットワークの教育利用を推進していくために、新たに
「Eスクエア・プロジェクト」が開始されている。「Eスクエア・
プロジェクト」は http://www.edu.ipa.go.jp/E-square/  参照。
(1999.8.12 脇田俊幸) 
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Y:この学校の情報教育について、簡単に紹介していただけますか。

F:情報の授業としては、中学1年生の「週1時間、ワープロ、表
計算、電子メールの学習」、高校1年生と3年生の「土曜日の授業
で、ワープロ、表計算、電子メール、WWWの学習」、そして理工学
部に進学が決まった高校3年生向けに「大学進学準備講座」として、
UNIXを学ぶ講座が開かれています。UNIX講座は延べ12時間で、立命
館大学理工学部の施設を使って実施されます。

 これらの授業で使うテキストは、すべてオリジナル [注7] なも
のを用意しており、生徒が興味を持つように工夫を凝らした内容に
なっています。たとえば、電子メールの授業では、単に「こうした
らメールが書けます」とだけ教えても面白くありませんから、電子
メールで届いた文章に、自分で話を付加して別の人に送り、ストー
リーを作っていくような楽しい実習ができるようなテキストになっ
ています。[新規注]


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[新規注]  授業のカリキュラム

現在のカリキュラムは、週1時間は変わっておりませんが、

中2 Win95,Macの基本操作、WWWを利用した情報検索、利用
中3 電子メール、アニメーション、BASIC
高1 Webページ作成他
高3 UNIXの基本操作、プログラミング(予定、2000年度から)

と、変化しています。

また2002年、2003年には初等中等教育が大幅に変化しようとしてい
ます。特に情報教育については中学校では技術の半分を情報教育に、
高等学校では新科目「情報」(普通教科と専門教科の二本立て)が
設置されることになり、本校もカリキュラムを大幅に変更していく
と考えられます。

 現場にいる先生、生徒は多かれ少なかれ混乱していくと思います。
#当然「情報」の教員免許が創設されます。

学校をすべてインターネットに接続しようという計画も、あるよう
ですが、お守をする人をどう集めるのか、とても大変なことになる
ような気がします。 (1999.8.12 脇田俊幸) 
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Y:中学生、高校生に教える際の苦労話などはありますか。

W:「何をやってくれるか分からない」ということでしょうか。
「あれ、あれ?」と、訳が分からないままにマウスのクリックを続
けて、同じアプリケーションをいくつも画面に表示させていたりし
ます。最高は、同じアプリケーション30個です。ファミコン [注8] 
世代ですから操作することに抵抗がない分、いろいろなことをして
くれます。

「コンピュータがおかしいんです」という生徒に、「何をしたんだ」
と聞くと、たいていは「何もしてませーん」と返事するのですが、
この場合の何もしていないは、絶対に何かしているのです。たとえ
ば、複数のWebブラウザを立ち上げているから、ワープロがなかな
か起動しないとか:-)。

 また、好奇心旺盛な時期ですから、簡単にインターネットにつな
がることによって、授業中に注意力散漫になる生徒もいますね。私
自身、 注意力がこちらに向くような授業をしないといけないと痛
感しています。[新規注]


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[新規注]  注意力がこちらに向くような授業

 まだまだここまでの境地にいきつけてません。生徒と一緒に学ん
でいくという感じです。(1999.8.12 脇田俊幸) 
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 中学・高校の授業でコンピュータを使わせる場合、使い方よりも
マナー、いわゆるネチケット [注9] を教える方が先だと思います。
「技術より心」ということです。多くの生徒が、インターネットを
「バーチャルな遊びの空間」と考えていることが気になります。イ
ンターネットを使ってコミュニケーションをとる相手は生身の人間
ですし、現実社会と向き合っていると考えるべきだと思います。

F:大学を含む立命館学園のキャンパス・ネットワークを支援する
組織として、教育研究システム小委員会というものがあるのですが、
その中で「情報倫理教育プロジェクト」というものが設置されてい
ます。私もその一員ですが、このプロジェクトではネットワーク上
での事故や事件についての正しい認識を持つために「ネットワーク
利用における諸注意」と題するリーフレットを作成しました。本学
において、ネットワーク倫理という面ではコラムにあるような指導
をしています。[新規注]


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[新規注]  ネットワーク倫理

 全国的に「情報倫理」については議論になっていますねえ。FINE
広島やFINE京都などや、教員が主体となって設立した団体もあるよ
うです。学校に対するフォローに対しては、試行中ですが、JERIC
( http://www.jeric.gr.jp/ )という団体もあります。
(1999.8.12 脇田俊幸) 
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Y:コンピュータを使うクラブ活動などもありますか。

W:情報メディア部というものが中・高ともにあり、クラブ活動で
ホームページを作成して、ホームページ制作コンテストに応募した
り、自分たちでテーマを決めて調査したりしています。また、レポー
トをまとめることにも活用しています。単に「コンピュータを使う
ことだけが目的」にはさせたくありませんからね。

 情報メディア部だけでなく、ほかの文化系のクラブでもコンピュー
タは使用しています。たとえば、新聞部が新聞を編集するときに使っ
たり、生徒会がプレゼンテーションをするときに使ったり。文化祭
ではクラスの企画としてインターネットでディズニーやオリンピッ
ク、ヒット曲について調査したクラスもありましたし、劇の台本を
作成するために使ったりしています。月、水、金、土曜の昼休みと
放課後に、生徒が自由にPCを使える時間が設定してありますから、
自作の小説を書くために利用する生徒もいます。

Y:「京都スクールネット」 [注10] を始められたのが、ここの学
校でしたよね。

F:はい。コンピュータを教える教員どうし、1つの学校というワ
クを越えた交流から生み出されるものに期待してスタートしました。
主にメーリング・リスト [注11] による情報交換を行っていますが、
ホームページの開設や研究会も計画していきたいと思っています。

 この取り組みは、本校の教員と京都府立商業高校の高橋博治先生
が呼びかけ人として開設したもので、現在もメンバーを募集してい
ます。京都の学校だけに限っていませんので、全国各地からの参加
を歓迎していますし、参加者を教職員だけに限っているわけでもあ
りません。

W:まだ始まったばかりなのですが、各自のメーラーの話からコン
ピュータ導入前と導入後の学校間での情報交換など、学校の枠や小・
中・高といった種別、地域を超えた議論が始まりかけています。


*多忙なプロバイダへのアイデア提案

Y:脇田さんは自宅にもPCを置いて、趣味の分野のメーリング・リ
スト [注12] を開いたり、参加したり、ホームページを持っていらっ
しゃったりするんですよね。趣味の分野でのインターネットの利用
は、プロバイダを利用しているのですか。

W:大体そうです。fjなどへの投稿もそちらからです。私が利用し
ているプロバイダに限りませんが、現在では、コンピュータにそれ
ほど詳しくない人たちが、どんどんと加入し始めています。しかし、
彼らがさまざまな質問をしても、それに対する十分な対応がプロバ
イダ側からなされていないのが現状だと思います。

 私が利用しているプロバイダはとくにその傾向が強く、電子メー
ルで質問を送れる体制になっているのですが、そのメールへの返事
はほとんど送られてきません。また、そういう内情をfjなどの全国
的な場で発言すると、プロバイダ批判をしたとして、さらに取り合っ
てもらえなくなります。まあ、プロバイダは単にインターネットに
つなげるのが仕事だといわれたらそれまでなんですけど、「ただ接
続するだけで、これからやっていけるのか?」と思いますね。
[新規注]


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[新規注]  プロバイダのサポート

プロバイダさんもサバイバル時代になって、結構サポート、フォロー
をしてくれるようになったようです。なんといっても人と人の関係
が大事ですからね。

#まあ、私の使っているところは未だに全然サポートしてないみた
  いですが。
(1999.8.12 脇田俊幸) 
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Y:そういった事情があるからかもしれませんが、私のホームペー
ジを見た人から、「カウンタの付け方を教えてください」とか「プ
ロバイダのWWWサーバーへのファイル転送の方法を教えてください」
といった質問メールがよく届きます。すぐに返事を書いてあげると、
本当に喜ばれますね。メールには必ず「利用されているプロバイダ
にも相談されるといいですよ」と書くのですが、「プロバイダに聞
いても、よく分かりません」とか「返事がありません」と、返って
きます。

W:プロバイダが忙しいのは、よく分かります。プロバイダが自分
たちだけで質問に対処しきれないのなら、届いた質問を自動的にプ
ロバイダ内のニュース記事として掲載してもらいたいですね。ため
込むのではなく、どんどんと外に出してほしいのです。そうすれば、
そのプロバイダを利用している中でコンピュータに詳しい人が、ボ
ランティア精神で返答できるような体制を作ることができます。こ
れは、私の行っていた大学では確立されていました。難しい技術で
はありません。

Y:UNIX文化で育ったものにとっては、「ネットワークの先で困っ
ている人をボランティア精神で助ける」というのは、とても自然な
姿に思えます。それに、「仕事を他人から見えないところにため込
まず、どんどん外に出して協力を求める」というのは、どんな仕事
においても、必要なことのように思います。

W:そうそう、そのときに「何をしてから何がどうなったのか?」
がハッキリしていれば、素早く解決できますからね。「タコは育て
よ」 [注13] ともいいます。こちらが理解できない質問には、そう
簡単に答えることができないんですよ。

Y:本当にそうですね。「この人、いったい何を教えてほしいのだ
ろう?」と思うような意味不明な質問だと、メールでは対処するす
べがないんですよね。文章表現力の大切さをつくづく感じます。

 また、「ネットワーク上で積極的にサポートすると接続料金の割
り引き(報酬)などがある」という制度の導入を全国のプロバイダ
さんに提案したいです。

W:リムネットでは、そういうバーチャル社員を募集 [注14] して
いますね。

 「詳しい人が、そうでない人に教える」というのは、学校教育で
も活用できる精神なんです。とくにコンピュータ実習の場合、生徒
どうしで教え合いながら学んでいくことが多いと思います。こうい
う学び方が、生徒どうしの結びつきを強くしていってくれたらとて
もうれしいですし、またこれで将来のハッカー(クラッカーではな
い)が生まれるのではないかと期待しています。[新規注]


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[新規注]  将来のハッカーが生まれるのではないか

 生徒の中ででどっぷりはまっている子もいます。大学に行って、
RAINBOWスタッフ(立命館大学のネットワークのサポートスタッフ)
になって頑張っている卒業生もいます。生徒の中では携帯・PHSの
メール機能や、ポストペットで連絡を取り合ったり、学内外でチャッ
ト仲間を作ったりしてやっている子もいるようです。

 先生の中でもポストペットで電子メールを使うようになったとい
う人が何人かおられます。もしかしたらポストペットがコンピュータ、
インターネットを学校に普及させる鍵になるかもしれませんね。

 学校にインターネットが普通に入り込んでくるとしたら、それに
対するサポート体制が必要になってきてますね。技術的なことでは、

  スクールテック http://st.jr.chiba-u.ac.jp/

なんかもありますが、組織的にサポートする団体が必要になってきて
いるのではないかと思っています。まあ、最近はちらほらとそういう
動きがあるようですね。1999年8月には、「ネットデイサミット in 群馬」
とかありました。 (1999.8.12 脇田俊幸) 
==========


Y:今日は貴重な話をどうもありがとうございました。



[注1]  立命館中学校・高等学校

立命館学園は、1900年に設立された京都法政学校を祖としている。
1905年に京都法政大学(後の立命館大学)の附属校として清和普通
学校が設立され、これが立命館中学校となり、戦後の学制改革によ
り立命館中学校・高等学校となった。'88年には、それまでの男子
校から男女共学制にし、場所を現在の深草学舎に移転した。京都市
伏見区深草にある深草学舎の最寄り駅はJR稲荷駅であり、駅から徒
歩14分である。詳細は http://www.ritsumei.ac.jp/fkc/ で。


[注2]  NTT の新着情報

NTTのホームページ内にある日本の新着情報コーナー。当時のURLは、
http://www.ntt.co.jp/WHATSNEW/index-j.htmlだった。


[注3]  情報科目の教員の求人広告

これについて、文田先生は、「情報担当常勤講師についての採用方
針の決定が遅れ、募集を出したのが2月になってしまいました。就
職活動がほぼ終わっている時期だけに誰も応募がなかったらどうし
ようと心配していました」と語っている。


[注4]  各サーバー

DNS(Domain Name System)サーバーは、ホスト名とIPアドレスの
対応表を持つネーム・サーバー。SMTP(Simple Mail Transfer
Protocol)サーバーは、電子メールを送受信するメール・サーバー。
NNTP(Network News Transfer Protocol)サーバーは、ネット・ニュー
スの配送/読み出し/投稿のためのニュース・サーバー。WWW(World
Wide Web)サーバーは、クライアントとの間でHTTP(HyperText
Transfer Protocol)というプロトコルを使って通信し、テキスト
や画像などのさまざまなデータをWWWブラウザ上に表示する。


[注5]  TCP/IP

Transmission Control Protocol/Internet Protocolの略。米国の
ARPANETというネットワーク用に開発されたプロトコル。TCP/IPの
上位のアプリケーション・プロトコルとして、電子メールのSMTP、
ファイル転送のFTP、仮想端末のTELNET、ネットワーク管理のSNMP
などがある。


[注6]  100校プロジェクト

通産省が文部省の協力の下に、全国100の学校などに必要な設備を
置き、インターネットを学校教育に活用しようとする試み。'95年
春に2年間の予定でスタートし、すでにさまざまな成果をあげてい
る。


[注7]  すべてオリジナル

Windows95や電子メール、Lotus 1-2-3、一太郎などを題材にした
もの。[新規注]


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[新規注]  オリジナルのテキスト

現在はもの凄く分厚くなっています。来年度はUNIXを利用した授業を
展開するため、大幅な追加が必要になってくると思います。ハッスル
本(書籍『ホップ! ステップ! Linux!』)を参考に、うんうん唸っています。
(1999.8.12 脇田俊幸) 
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[注8]  ファミコン

任天堂が'83年7月に発売したゲーム専用8ビット・コンピュータ。
正式名称は「ファミリーコンピュータ」。その安さと豊富にそろっ
たゲーム・ソフトウェアを理由に爆発的に流行した。'90年11月に
は16ビットCPUを使い、描画性能を強化した上位機種「スーパーファ
ミコン」も発売された。子供のころからファミコンというコンピュー
タに慣れ親しんでいる世代には、コンピュータに対する恐怖感など
はほとんどなく、年輩層に見られがちなキーボード・アレルギーも
少ない。[新規注]


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[新規注]  ファミコン世代

 もう既にファミコン世代は終わりました。ファミコンを触ったこと
がない生徒ばかりになってしまいましたから。プレステ世代と言うべ
きかなあ。(1999.8.12 脇田俊幸) 
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[注9]  ネチケット

パソコン通信やインターネットを駆使し、ネットワークをコミュニ
ケーションや仕事の手段として高度に利用している人を、ネットワー
クとシチズンの合成語を用いてネチズンと呼ぶ。このネットワーク
世界に住む市民が守るべきエチケットのことを、ネチケットという。


[注10]  「京都スクールネット」

京都を中心とする初等中等教育の現場において、コンピュータやネッ
トワークを利用した効果的な教育のあり方を共同で研究し、相互に
支援できる環境を作ることを目的としている。
詳細は、http://www.ritsumei.ac.jp/fkc/ksn/ 参照。


[注11]  メーリング・リスト

インターネットの電子メール機能を使って、複数のユーザーに対し
て同じメールを送信するサービス。ニューズ・レターの購読のよう
にただ配信されるだけのものと、BBSを開催してユーザー自身が情
報を発信できるものの2種類存在する。ただ後者の場合、参加者の
人数が多くなってくると、メーリング・リスト・サーバーの負荷が
大きくなるので、ネット・ニュースを利用した方がよい。


[注12]  趣味の分野のメーリング・リスト

メーリング・リスト(ML)にハマったきっかけは、わかつきめぐみ
MLから。そのほかに教育関係以外で参加されているMLは、須藤真澄
ML、銭湯ML、竹本泉ML、ハムスターML、Rec-GeoML、編み物ML。


[注13]  「タコは育てよ」

これは、Linuxの世界の合言葉。ここでは「答えてもらえるような
質問の仕方を考えよう」という意味で使っている。


[注14]  バーチャル社員を募集

「SOHO社員制度」という名称で行っていた。
SOHO(Small Office Home Office)は、「ソーホー」と発音する。
自宅と会社をコンピュータ・ネットワークで接続し、会社と同じ
環境を自宅に構築できる。コンピュータ・ネットワークを使うことで、
小さな規模の会社もほかの会社と連携を取りながらビジネスすることが可能。


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コラム 

ネットワーク倫理の学習

立命館中学校・高等学校の「ネットワーク倫理の学習」を中心に、
さらに詳しい内容を文田先生から紹介していただきます。

●ホームページ公開の狙いについて

 ホームページを公開した目的は、まずネットワークを利用した授
業や課外活動の取り組みを進めるうえで、実際に使えるデータや資
料、有効な教材が必要になったからです。このため、本校における
教材作りの取り組みを紹介したページを作りました。また、学校紹
介という広報的な意味を持たせつつ、生徒作品を紹介することで、
生徒の自己表現力を付ける励みになればと考えています。生徒の個
性を引き出すきっかけになると同時に、ネットワークに情報を流す
ことで、生徒に責任を持たせることにもなりますので、ネットワー
ク倫理の学習としても生かしたいと考えています。

 さらにホームページを開設することで、社会的なネットワーク
(人と人のつながり)が広がり、さらに他校との交流の場としてコ
ミュニケーションが生まれてきます。学校という枠にとらわれない
学習、教育活動を始めるきっかけになればと考えています。

●ネットワーク倫理について

 情報ネットワークを利用するに当たって、社会的なルールを守る
ことはいうまでもありませんが、ネットワークは多くの人が共同で
使用していることへの配慮として、無意味に負荷をかけない(かけ
させない)ことに気をつけさせています。また、人を不愉快にさせ
るような内容や知的所有権を侵害するような内容を掲載しないなど
注意もしていますが、むしろ「社会的に貢献していく」という積極
的な姿勢を持たせることこそネットワーク倫理の教育だと考えてい
ます。

 また、ネットワーク上で起こり得るトラブルの可能性に対して、
柔軟な対応ができるような教育も必要だと思います。しっかり事実
を見極めることや相手の立場や環境を理解して交流することが、ネッ
トワーク社会の中で考慮すべき重要な問題です。

 「情報倫理教育プロジェクト」作成の「ネットワーク利用におけ
る諸注意」と題するリーフレットの内容は、@人権・著作権の保護
とネットワーク上での禁止行為について、A電子メール、会議室、
ネット・ニュース上での注意、B自らのセキュリティを高めるため
に、C共同施設を使用する際の注意という4つのポイントから成っ
ています。

●ネットワークを利用した授業について
 
  本校の場合、情報ネットワークの利用という点では、プレゼンテー
ションやコミュニケーション、資料検索手段として、教科学習にお
いて利用しています。

 ネットワークは双方向に文化を交流する手段ですから、学校の中
でも外でも情報を受けるだけ、与えるだけという関係でなく、ネッ
トワークの向こう側の人に働きかけながら自分も成長するというス
タンスを持ちたいと思っています。たとえば、本校では中学3年時
に卒業レポートとして課題研究レポートに取り組ませますが、情報
検索を行ったあと、実際に現場に出かけて行ったり、情報提供者の
意見を聞くなど、生徒が検索データをきっかけにそのあとの取り組
みをいかに作り出していくかがポイントになります。

 さらに、動機付け、目的をはっきりさせて利用することが大切だ
と考えています。たとえば、アメリカのある学校と文通をしていま
すが、英作文という目的ではなく、国際理解や共同研究という大き
なテーマに基づいて、一定の成果が見えるものの方がよいのではな
いかと思っています。   

 (立命館中学校・高等学校 文田明良)
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(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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