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第26回 ダウンサイジングは絶妙なチームワークから



1997年3月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第26回 ダウンサイジングは絶妙なチームワークから

今回は社団法人システム科学研究所 [注1] を訪ね、同研究所調査
研究部室長の遠山 誠(とおやま まこと)さん、そして同研究所の
ネットワーク環境の構築・運用を担当していらっしゃる京都電子計
算株式会社 [注2](以下KIP)技術開発本部ネットワーク部の西澤
基和(にしざわ もとかず)さんにお話をお聞きしました。また、
KIPの営業担当として同研究所に出入りしていらっしゃる北川勝彦
(きたがわ かつひこ)さんにもお話に加わっていただきました。


==========
[遠山 誠さんからの新規コメント]  

「ルート訪問記」第26回「ダウンサイジングは絶妙なチームワー
クから」で紹介していただいた当社団のネットワーク環境は、次の
ように発展しています。

  1) インターネットプロバイダと接続するOMP専用線の通信速
   度を、64Kbpsから128Kbpsに変更しました
  2) ファイルサーバー・プリントサーバーを NETWARE から NTサ
   ーバーに移行しました
  3) 当研究所の関連会社である「地域未来研究所(本社、大津市)」
   の大阪事務所開設に伴い、当社団と大阪事務所との間を専用
   デジタル回線(128Kbps)で結ぶことにより、大津−京都−大阪
   を連携するWANを構築しました
  4) 地域未来研究所に1台、同大阪事務所に1台ワークステーショ
   ンを増設し、現在、計5台のワークステーションがWAN環境
   で動いています

 以上のようにハード環境は年々増強・更新しておりますが、「ルー
ト訪問記」で紹介しました「メインフレームに似たワークステーショ
ンの運用環境」は、使い勝手が良く、修正を加えておりません。これも
ひとえに当社団のネットワーク環境の構築・運用を担当していただい
ている京都電子計算株式会社さんの技術力と、当社団とのチームワー
クの賜と感謝しています。(1999.8.9、遠山 誠)
==========


*地域の政策立案を担うシンクタンクのネットワーク環境

私(以下Y):はじめまして。システム科学研究所の遠山さんと、
この研究所のネットワークの構築と運用を実際に担当していらっしゃ
るKIPさん、いわゆる「業者さん」の両方の方からお話がお聞きで
きるということで大変喜んでいます。

まずは、システム科学研究所の紹介からお願いできますか。

遠山さん(以下T):システム科学研究所は、関西の経済社会の発
展に寄与することを目的として、1972年に通産省所管の公益法人と
して設立されました。以来、公益法人としての客観的視点に立ち、
主に国や地方自治体などの公共団体からの委託を受け、都市整備、
地域振興、人材育成など、地域社会が抱えるテーマについて調査、
研究を続けています。

 これらの核となる活動に加えて、毎年情報化月間行事として、シ
ンポジウムあるいは展示会を開催しております。’95年度は「イン
ターネットのビジネス利用」と題するシンポジウムを、’96年度に
は「ITSの現状と動向」と題するシンポジウムを開催するなどといっ
た活動を行っています。

Y:次に本題である、システム科学研究所のネットワーク環境につ
いて説明していただけますか。

T:ワークステーションを用いたシステムを構築する前は、KIPさ
んのメインフレーム(富士通FACOM M760)の端末を置いて使ってい
ました。KIPにあるメインフレームを、こちらの端末から専用回線
で利用するというスタイルです。専用回線に端末制御装置を介して、
6台の専用端末を同軸ケーブルでつないで使っていました。そして、
5年ほど前に、IBM PS/Vを中心としたパソコンのLAN環境が整備さ
れました。

北川さん(以下K):補足しておきますと、本研究所では調査研究
が行われていますから、業務としては科学技術計算がメインとなり
ます。つまり、FORTRAN [注3] のプログラムで実施する統計処理
ですね。元データも大きいのですが、計算させた結果のデータが非
常に大きくなる場合が多いため、昔はメインフレームでないときつ
かったんです。

ただ、それを購入するには値段が非常に高かったこともあり、KIP
のメインフレームをリモートで使うしか方法がありませんでした。
当初は専用端末での使用だけでしたが、それらをPCやメインフレー
ムの端末としても使えるものに置き換えていこうとする動きの中で、
LAN環境も構築されていったわけです。それが’91年ごろのことで、
そのときにIBM PS55にNetWare [注4] を入れてPCサーバーとして
使い始めました。

Y:ワークステーションが導入されたのは、それより後なのですね。

T:はい。メインフレーム上で行っていた科学技術計算を、ワーク
ステーションに置き換えていく目的も兼ねて、’94年にサンの
SPARCstation 5モデル10を導入しました。翌年の’95年には、同ワー
クステーションをサーバーにして外部のネットワークとのインター
ネット接続が可能となりました。’96年にはサンのUltraを導入し
て、現在はこちらのマシンを科学技術計算などの業務用に使ってい
ます。

 遠隔地(大津市)にある、本研究所の兄弟会社「地域未来研究所」
とは、ハイスーパー・デジタル専用線で結ばれているのですが、そ
こに1台、’95年に導入したサンのSPARCstation 20があります。
場所は離れていますが、同じセグメント内に属しており、ネットワー
ク的には内部にある [注5] ように見えています。結果的に、この
ネットワーク上では合計3台のワークステーション [注6] が使わ
れています。

Y:それらのワークステーションは、業務用とインターネットのサー
バー用の両方に使われているのですか。

西澤さん(以下N):「地域未来研究所」のSPARCstation 20は業
務用にしか使われておらず、インターネット系のサービスは本研究
所から提供しており、3台の内訳はインターネットのサーバー用が
1台、業務用が2台です。インターネット用のマシンは、ネーム・
サーバー、メール・サーバー、Webサーバー、Proxyサーバーとして
使われています。また、業務用のマシンがダウンした場合に備えて、
同マシン上でもFORTRANのコンパイラと運用環境(ツールなど)は、
常に使用可能な状態にしてあります。

Y:そのあたりはすべて西澤さんが担当されているということで、
「ネットワーク構築、管理と運用といった、システム管理の業務を
外部に任せる」というスタイルが確立しているわけですね。

T:内部の研究員が自分の業務に専念できるように、このスタイル
を取っています。従来、メインフレームで行っていた業務をワーク
ステーション上に置き換えていくための作業、インターネット接続
の作業や運用など、すべてKIPさんの方にお願いできたおかげで、
業務の方もかなりスムーズに移行できていますし、インターネット
の方も電子メールやホームページの利用を中心に、研究所内で大い
に活用されています。


*ワークステーションへの移行がスムーズだった理由

Y:先ほど遠山さんが、「メインフレームからワークステーション
への業務の移行がスムーズだった」とおっしゃっていましたが、通
常はそんなにうまくいかないと思うのですが。

N:これまで、KIPのメインフレームのFORTRANを使って計算処理を
していたものを、新しくサンのワークステーション上のFORTRAN77
へ移行することに伴い、

  (1)OSが変わるために操作が変わる
A(2)UNIX系ではユーザーが使いやすいエディタがあまりない
B(3)これまでJCL [注7] でジョブの制御を行っていたが、UNIX上
     ではこれらの資源が流用しにくい
C(4)これまで使用していたプリンタにUNIXから出力する場合、
     コマンド入力が変わって使いづらい

といった問題が生じました。

 とくに(3)については、ユーザー側から「メインフレーム用エミュ
レータのファイル転送などを使ってFORTRANのソースやJCLなどを
UNIX側に取り込む、あるいはサイズの大きいものはMT [注8] から
落とし込んでファイルをそのまま流用したい」という強い希望があ
りました。

 これらの問題を解決していくための方法を検討した結果、

@(1)操作の変更点、とくにOSのコマンドについては、運用上使用
     する最低限のものをまとめて、運用マニュアルに付け加える

A(2)エディタの問題は、PC-NFSを導入してUNIXのディスクをDOSか
     らも直接扱えるようにし、Windowsなどからユーザーが使い慣
     れたエディタ [注9] を使用する

B(3)ユーザーは、JCLデータを多少修正した仮想JCLを作成して、
     それをUNIX側で自動変換して処理できる仕組み(コラム参照)
     を作り、既存のソースが使えるようにする

  (4)メインフレームから使っていたプリンタは特殊であるため、
     UNIXからはftpのバイナリ・モードでしか印刷できない。そこで
     lpr [注10] 互換コマンドを作成する

というように対応することにしました。

 これによって、UNIX導入後も従来の操作環境とほぼ同じものを提
供できています。たとえば印刷結果にしても、メインフレームを使っ
た場合と同じものが得られます。実際に運用していただきながら、
その後も要望などがあればなるべく対応するようにしています。

Y:「ユーザーの使い慣れた操作を尊重する」という精神には脱帽
します。ユーザーは、これまでと同じPCの前に座って作業をするわ
けですから、コンパイラが動いているのがメインフレームなのかワー
クステーションなのかは、それほど意識する必要がないわけですね。

K:そうです。PC側のPC-NFSによってUNIXのディスクもローカル・
ディスクとして使えますし、エディタもPC上のものを使いますので、
ほとんど違和感なく移行できています。実際、ユーザーとしてメイ
ンフレームからUNIXに移行した経験をお持ちの方なら、UNIX上でメ
インフレームとほぼ同様なJCLファイルが書けることには感動され
る [注11] と思いますよ。

Y:これまでメインフレームの環境を提供していらっしゃったKIP
さんが、ワークステーションへの移行も担当されたからこそ、この
ような「スムーズな移行」ができたのでしょうね。


*インターネット接続に関する苦労話

Y:インターネットに接続されたのは、’95年ですよね。

N:はい。インターネット接続は、京都高度技術研究所と京都ソフ
トアプリケーションが運用している京都P-Netというプロバイダに
接続しています。いまは専用線ですが、当初はINS64の線を使って
いました。この線は、以前から地域シンクタンク・ネットワーク
(以下、NIRAネット [注12])との接続のために、関西情報センター
との間で使っていた線を共有していたのですが、1本の線で2種類
の接続先からつなぐ設定に少し苦労して、結局電話番号だけもう1
つ取って運用していました。

 ’96年になってインターネットの使用頻度が極端に上がってきた
結果、INS64を使うよりも専用線を引いた方が安いことになったの
で、’96年夏からはOMPの専用線 [注13](現在は64Kbps)に変更し
ました。

 インターネット接続の苦労話としては、「従来から使われていた
NIRAネットとの間とプロバイダとの間で、こちらのネットワークの
サーバー(SPARCstation 5)のドメイン名が違う」という特殊な事
情に起因したものがありました。

 つまり、NIRAネットの方は、あちらのNISで設定している
system.or.jpというドメイン名が指定されており、インターネット
の方ではJPNIC [注14] に申請して与えられた正式なドメイン名
issr-kyoto.or.jpが使われている状況です。

そのため、IPアドレスは1つでも、「NIRAネットとのメールのやり
取りはこのドメイン名」、「インターネットとのメールのやり取り
にはあのドメイン名」というように使い分けなければなりません。
具体的には、sendmailの中でフィルタを通して、送るときにあて先
を見て振り分ける形式にしています。メールを受けるときは、どち
らから届いたものも同様に受け取ります。

Y:NIRAネットというのは、閉じたネットワークなんですね。

N:それが、閉じているようで閉じていません。NIRAネットからは
インターネットにつながっていますから。こちら側からは、NIRAネッ
ト経由でインターネットにメールが出ないようにしなければいけな
いので、NIRAネットに出すときはNISを使って、インターネットに
メールを出すときはDNS [注15] を使ってアドレス解決をさせて送
るという工夫をしています。

Y:メール・サーバーとWebサーバーがSPARCstation 5の上で立ち
上がっているということですが、ニュース・サーバーも同じマシン
上ですか。

N:ネット・ニュース [注16] はプロバイダに読みにいくようになっ
ていますから、サーバーは立ち上げていません。SPARCstation 5は
ネーム・サーバーと、内部ネットワークのProxyの役割を持ってい
ます。内部のプライベートIPアドレスが外に出ないようにする関係
上、すべてSPARCstation 5を通るように設計していますが、最近、
負荷が高くなってきているので新しいワークステーションを導入し
ていただければと思っています。

T:そうですね。現在、検討中です。

Y:今回は、「ネットワーク構築、管理と運用といった、システム
管理の業務全般を外部に任せる」というスタイルを導入したシステ
ム科学研究所さんを訪問しましたが、内部の責任者である遠山さん
と外部の技術者の西澤さん、営業の北川さんという、関係する方々
すべてに集まっていただけたので、とても参考になりました。

 ネットワークに関する業務を外部に任せることで、研究所の方は
本来の業務に専念でき、KIPさんはネットワーク構築の経験をほか
の組織のネットワーク構築に生かしていくことでしょう。

 今日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。


 今回のルート訪問は、私の友人の寺尾洋子さん、その友人のKIP
の山下佳士さんの協力で実現しました。取材当日は、お2人にも応
援にかけつけていただけたことで楽しく取材ができました。ありが
とうございました。



[注1]  社団法人システム科学研究所

「地方の時代」において、魅力と個性ある地域・町作りのためにい
ま何をすべきかというテーマに取り組み、広く、経済社会システム
の発展に寄与することを目的として、地域政策立案に取り組んでい
るシンクタンク。所在地は、京都市下京区四条通烏丸西入。常勤職
員数は37名で、そのうち23名が研究員。
詳しくは、http://www.issr-kyoto.or.jp/ 参照。


[注2]  京都電子計算株式会社

KIPの略称で親しまれており、「KIPは、つねに新技術に挑戦し、豊
かな情報社会に貢献します」を企業理念に、地方公共団体、大学、
医療機関などへコンピュータに関するあらゆるサービスを提供して
いる。’64年の創立以来、公共性の高い分野での実績を積んできた
が、近年ではLAN/WANなどのネットワーク構築サービスや、オープ
ン・システム商品の開発・販売に力を入れている。所在地は、京都
市中京区烏丸通二条上ル。


[注3]  FORTRAN

FORmula TRANslator(TRANslation)systemの略。’56年にIBMが
704型電子計算機用に開発したプログラミング言語。数式と似た記
述ができるため、科学技術計算用として広く普及した。’91年には、
最新の標準規格Fortran90が定められた。


[注4]  NetWare

ノベルが開発・販売するネットワークOS。特徴として、入出力の利
用を最適化することによる高速性や高度なセキュリティ機能などが
あげられる。ここで利用されるプロトコルは、IPXと呼ばれる。


[注5]  ネットワーク的には内部にある

システム科学研究所と地域未来研究所との接続はルーターを介して
いるが、IPルーティングなしでプロトコルを流しているため、ブリッ
ジとしての役割しかさせていない。これは、もともとIPXを通す必
要があったためで、現在はほかにもTCP/IPやAppleTalkを通してい
る。


[注6]  合計3台のワークステーション

この3台のマシンのOSは、’94年導入のSPARC station 5モデル10
が日本語Solaris 2.3、’95年導入のSPARCstation 20が日本語
Solaris 2.4、’96年導入のUltraが日本語Solaris 2.5である。


[注7]  JCL

Job Control Languageの略。メインフレーム上でコンパイルやプロ
グラムの実行などを含むさまざまなジョブに関する情報を記述する
言語。メインフレームでは、どんなに小さな処理でも、JCLを書い
て実行させなければならない。大学などの計算機センターでは、標
準的なJCLを用意して提供しており、それをアレンジして使うこと
ができる。しかし、いろいろなオプションを実行しようとすると自
分で記述しなければならず、非常に大変な作業を強いられる。


[注8]  MT

Magnetic Tapeの略。磁気テープのこと。


[注9]  使い慣れたエディタ

具体的には、MIFES、秀丸などが使われている。


[注10]  lpr

プリンタへのジョブの送信を行うコマンド。まず、プリンタ・ジョ
ブをスプール領域に生成し、装置や環境が準備できしだい印刷が行
われる。各プリンタ・ジョブは、コントロール・ファイルと1個以
上のデータ・ファイルからなり、データ・ファイルは引数として指
定されたファイル、もしくは(オプション“-s”指定時)指定され
たファイルへのシンボリック・リンクから構成される。またスプー
ル領域は、ライン・プリンタ・デーモンであるlpdによって管理さ
れる。


[注11]  感動される

筆者自身は、メインフレームもPC上のエディタも使ったことがない
ため、申し訳ないことに感動できなかったが、「自分が使い慣れた
環境を使い続けられること」がいかに快適かは十分に理解できた。


[注12]  NIRAネット

NIRAとは、National Institute of Research Advancement(統合研
究開発機構)の略。詳しくは、http://www.nira.go.jp/ を参照。


[注13]  OMPの専用線

OMPとは、Osaka Media Portの略。NTTとは違う電話会社であり、
OMPの線はデジタル線で光ファイバーが使われているため、追加料
金さえ払えば、現在の64Kbpsからもっと太くできる。


[注14]  JPNIC

JaPan Network Information Centerの略。日本ネットワーク・イン
フォメーション・センター。日本のインターネットの管理・運営を
目的として、’91年12月に設立された団体。日本でのドメイン名と
IPアドレスを管理しており、インターネットに接続している組織は、
JPNICが管理するDNSに登録されている。


[注15]  DNS 

TCP/IPネットワークで用いられるネーム・サービスの仕組み。
TCP/IPネットワークでは、ドメインと呼ぶ論理的なグループを階層
的に設定でき、その論理的グループ名称であるドメイン名をコンピュー
タ名(ホスト名)の一部に組み込んで利用する方法が採られている。
ネーム・サーバーは、ホスト名とIPアドレスの対応表を持っている。
通信したい相手ホストのIPアドレスが分からない場合、ネーム・サー
バーに問い合わせると通知してくれ、そのサーバーが分からなけれ
ば、上位のネーム・サーバーに問い合わせる。


[注16]  ネット・ニュース

インターネットにおける電子掲示板。多数のニュース・サーバーが
存在しており、ユーザーが書き込み(投稿)すると定期的もしくは
即座に隣接するニュース・サーバーにも書き込まれ、最終的にはす
べてのニュース・サーバーに伝わる。ニュースの読み書きにはNNTP
(Network News Transfer Protocol)が使用される。

===================================================================
コラム 

仮想JCLによる処理について

ここでは、仮想JCLデータをUNIX側で自動処理する仕組みについて、
西澤さんより具体的な説明をしていただきました。

ユーザーが作った仮想JCLをUNIX上で処理する

 これまで、メインフレームのFORTRANを使っていたユーザーに、
いままでとほぼ同じ運用環境を提供するためのツールとして、UNIX
上に、

 ・f77comp	−	コンパイル・コマンドをシェルで包む
 ・f77exec	−	ユーザーが入力するコマンド
 ・sh2csh.awk	−	仮想JCLファイルをCシェルに展開
 ・dtou、utod	−	DOS、UNIX間のファイル形式および漢字の変換
 ・sysort	−	引数にメインフレーム・ライクな形式を指定する
		        ソート・コマンド

というようなコマンドを用意しています。これらのツールが連携し
て仮想JCLによる運用を可能にします。

 実際にコンパイル・アンド・ゴー(実行)するためには、このほ
かに仮想JCLファイル、FORTRANのソース、データ・ファイルなどが
必要です。

 実際の処理手順としては、

(1)仮想JCLファイル名を引数としてf77execを実行(ユーザーによ
る操作はこの処理のみ)

(2)仮想JCLファイルはメインのCシェルと、サブシェルとなる複数
のCシェルに展開(ジョブ・ストリームに対応するため)される

(3)メインのCシェルは各サブシェルを順番に実行しながら、サブ
シェルの間に実行すべき処理(ファイルのソートなど)を実行

(4)各サブシェルはFORTRANソースのコンパイル、実行、プリント用ファイルの作成などを行う

(5)サブシェルの中で一番最後に実行されるものはプリント用のシェ
ル(f77execから実行される)で、作成されたプリント用ファイル
のうち指定のあったものを印刷

となります。

 たとえば、test.shという仮想JCLファイルを引数として、
f77execコマンドを実行したときの流れは、次のとおりです。

f77exec <---- test.sh (dos)
  |
  +--> test.csh(f77exec から実行)
  |
  +----> test.01.csh (test.csh から実行)
  |
  +----> test.02.csh(test.csh から実行)
  |
  +------> test.print.csh (f77exec から実行)


 参考までに、test.shとtest.cshとtest.01.cshを添付します。


==> test.sh <== 仮想JCLファイル
#
FD         SRC=/home/u7105/ux4/for/uxmainpr.for
FD IN11=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat
FD IN12=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxzntaio.dat
FD IN13=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxzokuse.dat,VOL=WORK
FD IN16=U,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxtetne3.dat
FD   CF=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxtetnet.dat
FD   CF=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxtetnor.dat
FD   CF=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxekizon.dat
FD IN19=U,FILE=/work/uxdr2005.unx,VOL=WORK,FORM=UNFORM
FD IN20=U,FILE=/work/uxbs2005.unx,FORM=UNFORM
FD OT21=U,FILE=/work/uxlinkc3.unx,FORM=UNFORM
FD OT22=U,FILE=/work/uxheadc3.unx,FORM=UNFORM,VOL=WORK
FD OT23=D,FILE=/work/uxbntnc3.unx,FORM=UNFORM,VOL=WORK
FD OT24=D,FILE=/work/uxrotlc3.unx
FD        LIST=ALL,TATE
#
SORT	KEY=(1,4,a)
FD IN11=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat
FD OT23=U,FILE=/work/uxbntnc3.unx
#
FD         SRC=/home/u7105/ux4/for/uxmainpr.for
FD IN11=D,FILE=/home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat
FD OT23=U,FILE=/work/uxbntnc3.unx,FORM=UNFORM
FD        LIST=EXEC,TAKO
FD OT24=U,FILE=/work/uxrotlc3.unx,FORM=UNFORM,VOL=WORK
FD OT25=D,FILE=/work/uxtimec3.unx

==> test.csh <== メインCシェル
#!/bin/csh
csh test.01.csh
if ($status != 0) goto ErrorExit
dtou /home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat /home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat.temp
echo 'Sort Start [ /home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat.temp -> 
/work/uxbntnc3.unx ]'
sysort /home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat.temp,U,/work/uxbntnc3.unx-1,4,a
if ($status != 0) goto ErrorExit
echo 'Sort End.'
csh test.02.csh
if ($status != 0) goto ErrorExit
goto NormalExit
ErrorExit:
echo $$': Fortran 77 Compile & Execute Error.'
exit (9)
NormalExit:
echo $$': Fortran 77 Compile & Execute Success.'
exit (0)

==> test.01.csh <== サブCシェル-1
#!/bin/csh
mv symopens.01.fort symopens.f
echo $$': Compile & Execute (1) Start.'
f77comp  /home/u7105/ux4/for/uxmainpr.for
set stsCmp = $status
set stsExe = 0
mv uxmainpr.compile uxmainpr.1.compile
if ($stsCmp == 0) then
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxtitl03.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	dtou $inFile uxtitl03.dat.temp
	setenv U11 uxtitl03.dat.temp
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxzntaio.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	dtou $inFile uxzntaio.dat.temp
	setenv U12 uxzntaio.dat.temp
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxzokuse.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	dtou $inFile uxzokuse.dat.temp
	setenv U13 uxzokuse.dat.temp
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxtetne3.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	setenv U16 /home/u7105/ux4/dat/uxtetne3.dat
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxtetnet.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	cp /home/u7105/ux4/dat/uxtetne3.dat uxtetne3.dat.temp
	dtou $inFile uxtetnet.dat.temp
	cat uxtetnet.dat.temp >> uxtetne3.dat.temp
	\rm uxtetnet.dat.temp
	setenv U16 uxtetne3.dat.temp
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxtetnor.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	dtou $inFile uxtetnor.dat.temp
	cat uxtetnor.dat.temp >> uxtetne3.dat.temp
	\rm uxtetnor.dat.temp
	setenv U16 uxtetne3.dat.temp
	set inFile = /home/u7105/ux4/dat/uxekizon.dat
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	dtou $inFile uxekizon.dat.temp
	cat uxekizon.dat.temp >> uxekizns.dat.temp
	\rm uxekizon.dat.temp
	setenv U18 uxekizns.dat.temp
	set inFile = /work/uxdr2005.unx
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	setenv U19 /work/uxdr2005.unx
	set inFile = /work/uxbs2005.unx
	if !(-e $inFile) goto NotExist
	setenv U20 /work/uxbs2005.unx
	setenv U21 /work/uxlinkc3.unx
	setenv U22 /work/uxheadc3.unx
	setenv U23 /work/uxbntnc3.unx
	setenv U24 /work/uxrotlc3.unx
	echo $$': Execute Start [ uxmainpr.exe ]'
	uxmainpr.exe > uxmainpr.1.result
	set stsExe = $status
	echo $$': Execute End  Return Code =' $stsExe
	\rm *.exe
	utod $U24 $U24
	\rm /home/u7105/ux4/dat/uxzokuse.dat
	\rm /home/u7105/ux4/dat/uxparamd.dat
	\rm /work/uxdr2005.unx
	\rm /work/uxheadc3.unx
	\rm /work/uxbntnc3.unx
endif
goto ExitScript
NotExist:
echo $inFile': No such file or directory'
set stsExe = 5
ExitScript:
@ sts = $stsCmp + $stsExe
if ($sts != 0) exit (9)

============================== 

 (京都電子計算株式会社  技術開発本部ネットワーク部 西澤基和)

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(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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