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第52回 IPリーチアブルな温泉旅館のネットワーク構築



1999年7月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第52回 IPリーチアブルな温泉旅館のネットワーク構築

今回は、島根県安来市(やすぎし)の鷺の湯温泉 [注1] にある、
IPリーチアブルな温泉旅館、安来苑(やすぎえん) [注2] を訪ね、
若旦那の安藤壮厳(あんどう そうげん)さんから、この旅館のネッ
トワーク構築、運営についてお聞きしました。なお取材当日、安来
苑で催された大宴会については、コラム「安来苑での“合同宴会”
は参加組織4つ、参加者43名の大宴会!!」をご覧ください。


*「確実に安全に動くこと」を目指す

私(以下Y):まずは、安藤さんが構築されたこの旅館のネットワー
ク環境について詳しく説明していただけますか。

安藤壮厳さん(以下A):旅館内にLANのケーブル(10BASE-2)を
張り巡らせていて、客室のパソコンからも24時間ネットワークが利
用できます。各種のネットワーク・サーバーはLinuxを使って構築
し運用しています。1996年10月にこの体制ができたので、もう2年
半になります。

 ’99年2月末現在、旅館内のLAN工事は半分以上終わっており、
客室(4部屋)とロビーと会議室の合計6か所にLANの口が用意さ
れ、Windowsパソコンからインターネット環境に常時接続できるよ
うになっています。

 構成は、構成図を見てもらえば分かりますが、ルーター経由で外
部につながっているだけの、とてもシンプルなものです。

 サーバーには、すべてLinux、しかもSlackwareを使っています。
最初にインストールしたのがこれだったので、勝手が分かっている
OSとして、そのまま使い込んでいます。

Y:外部との線は、OCNエコノミーですか。

A:いいえ。デジタル・アクセス64 [注3] という専用線です。こ
のあたりにOCNエコノミーのサービスが始まる前だったので……。

 いわゆる“シロウトの旅館のオヤジが作ったネットワーク”なの
で、スマートな設定よりも「確実に安全に動くこと」を目指しまし
た。本業である旅館の仕事の合間にサーバーを管理するわけですか
ら、安定稼働するシステムを作ることが最も重要です。

 サーバーには「常に動いていなくてはならない」という宿命があ
ります。それぞれのサーバーで動かすプロセスを極端に少なくし、
代わりに台数を増やしました。各種サーバー(Web、DNS、メール、
PPPなど)は、それぞれ別のマシン上で動いています。そうすれば、
マシンに負荷がかからず、スペックの高くないPCでも安定して稼働
し、何かトラブルが起きたときにも対処しやすくなります。どこか
のサーバーが壊れても、ほかのサーバーがバックアップしてとりあ
えず稼働している状態が作れます。

 1台のマシンで複数のサーバーを動かす場合、管理者にしっかり
とした技術がないと、なかなかうまく運用できないと思います。実
は最初、1台で各種サーバーを動かしていたために、サーバーが止
まることがあったのです。現在は、単純な設定にしているためだと
思いますが、非常に安定して動いています。もう半年以上、記録整
理(ログ監視) [注4] 以外、何もかまってませんね [注5]。

 このように多くのPCを常時起動させていると、普通なら電気代が
高くなりますが、ここでは幸い、旅館の高圧設備を利用しているた
め、比較的安くすんでいます。サーバーも古いPCを利用して自分で
作ったので、たいした金額にはなりませんでした。

 数台のサーバーを使うことは、ログ整理を各マシンで行うのが難
点ですが、これは、習慣になっているので苦にはなりません。むし
ろサーバーが停止するようなトラブルの方が怖いので、メリットは
大きいと思います。


*天井裏をはい回り線を張り巡らせる

Y:たったお一人で、旅館内にLANを配線されたのですか。

A:そうです。このサイトのネットワークに関することは、すべて
私一人でやっています。サーバーを構築するのも自分なら、旅館内
の配線をするのも自分です。

 小さいとはいっても旅館は旅館です。普通の事務所や自宅とは違
い、とにかく広いんですね。10BASE-2のケーブル [注6] を持って、
天井裏をはい回り、クモの巣にもめげず、ケーブルをクモの巣のよ
うに張り巡らせる作業そのものは、予想以上に大変でした。一人な
ので、たとえば、まず天井裏の壁に穴をあけて線を通しておき、次
に反対側に上がっては引っ張るという具合です。クモの巣は序の口
で、あるときはノラ猫とにらみ合いになったこともありました。

 圧着ペンチでモジュラを付けて、目立たないように客室に配置し
たり、線の長さにしても、100メートルをあっという間に超えてし
まうため、途中でハブをかませて中継基地を作ったりと、配線には
苦労しました。

 まだ半分ほど残っていますが、一番大変な部分は終わったので、
あと少しです。

Y:ネットワークを利用される宿泊客は、全体の何パーセントぐら
いですか。

A:「端末部屋をお願いします」と指定されるのは、1割か2割ぐ
らいでしょうか。朝まで寝ないで、ネットワークを利用しているお
客様もいらっしゃいます。「何しに温泉に来たんだろう」という感
じですね。

 泊まりにきたお客様から「インターネットがどんなものか教えて
ほしい」といわれたときは、時間がある限りネット・サーフィンを
教えています。「お客様には自由に使ってもらいたい」というポリ
シーがあり、ファイアウォールは設定していません。そのため、
telnet、FTPなども利用できます。

 特徴あるサービスとして、ここに宿泊したお客様の中で、メール
を使ってみたいという方には、利用規約をきちんと守っていただく
ようお願いしたうえでメール・アドレスを発行しています。お客様
には宿帳にご記入いただきますから、身元ははっきりしています。

Y:ところで、Webページから宿泊の申し込みができますね。満室
の日がWeb上に書いてあるのも、親切だと思いました。

A:はい。Webページから宿泊を申し込まれた方には、「端末のあ
る部屋を希望しますか?」と聞くようにしています。「ではお願い
します」という方と、「常にネットワークは使っているから、温泉
に来てまで使いたくない」 [注7] という方の両方がいますね。


*そもそも草の根BBS局からスタート

Y:どういうきっかけで、自分でサーバーを構築して旅館全体に
LANを張り客室にまで端末を置くことになったのでしょうか。

A:10年ぐらい前に、たまたまパソコン通信を始めました。そのう
ちに、自分の意見が自由にいえるところが欲しくなり自力で草の根
BBSを開局しました。同じことをやっていた米子と鳥取の人たちと
仲良くなり、その3つのBBSに書かれたことを互いに転送し合うこ
とにしました。

 お互いに自動転送し合えば、広域ネットワークが作れます。草の
根BBSを運営していて何が不安かというと、書き込みがまったくな
くなってしまうことです。自動転送し合うことで、少なくとも自分
たち3人の書き込みが常にあるため、その不安も解消されました。

 国道9号線沿いにできたものだったので「R9ネットワーク」とい
う名前を付けたのですが、次第に参加するBBS局が増え、一時は四
国にまでつながっていました。ほかのBBSの書き込みを転載し、互
いに読める仕組みを作ったわけです。それが’93年ごろの話です。

Y:なるほど。UNIXネットワークが大学や研究機関に広がっていた
時代に、パソコン通信の世界でも、つないでいく活動が繰り広げら
れていたんですね。

A:当時は、モデムが2400bpsの時代ですから、普通の画像ファイ
ルを送受信しようとすると、ものすごく時間がかかるわけです。
NAPLPSという技術というか規格があったのをご存じでしょうか。こ
れを使って、ポリゴンで描いた絵を圧縮すると、ファイルがすごく
小さくなって、2400bpsのモデムでも十分にやり取りできるように
なりました。そこで、それをサポートする仕組みを自分のBBS局に
作ろうとしていました。

 そうこうしているうちに、 ’95〜’96年となり、時はインター
ネット全盛期。あっという間に、BBSは過去の遺物となっていくわ
けです。


*Linuxとの出合い

A:実は、Linuxには’93年ごろ、友人を通じて一度出合っていま
した。当時の私は、「パソコンの上で動くUNIXというOSだよ」とい
われても、「UNIXって何?」のレベルでした。

 「そのOSは何がすごいの?」という私の質問に、その友人が「何
百万円のUNIXワークステーションと同じことができるんだよ」とい
う説明をしてくれました。「これは使わないと損だな……」と思い、
LinuxのSlackwareをインストールしました。まあ、当時は、
Slackwareしか選択肢がありませんでしたが。無事、Linuxを動かし
てはみたものの、悲しいことに、これで何ができるのか、自分にとっ
て何の役に立つのか [注8] の実感がわかなかったのです。

 UNIXの入門書を見ながら基本的なコマンドを使ったり、xeyesコ
マンドで目玉をグリグリ動かしたり、onekoコマンドで、カーソル
に向かって猫を走らせる程度では、当然、UNIXの本当のすごさは分
かりませんから……。

 その後、インターネット全盛期になって、そのサーバーがUNIXで
動いていることを知り、初めてUNIXが何者であるかが分かってきま
した。そして、「Linuxでインターネットのサーバーを作ろう!」と
いう大きな目標ができた私は、猛烈にUNIXを勉強し始めました。

 最初は、「マルチタスクがどうのこうの」という説明を読んでも、
その真の意味が分かっていませんでした。「同時に動けばたしかに
便利だけど、だからどうなの?」という程度です。「小さなプログ
ラムがマルチタスクで動き、結果として大きな仕事ができる。そこ
がスゴイ」というところまでは、気が付いていなかったわけですね。
「必要なプロセスだけを、自分で選択して動かせる。そうすべきだ」
ということにも、気が付いていませんでした。

 サーバーを構築して運用するに当たっては、yasuragi.or.jp、
mgnet.or.jp、indera.or.jpという3つのドメイン名を申請し、そ
れぞれ、クラスCのIPアドレスを受け取りました。そのころは、
or.jpドメインもクラスC [注10] のIPアドレスも簡単にもらえた時
代でした。


*サーバー構築にはUNIX USERが役立った!

A:ところで、私はUNIXを独学で学びましたから、『UNIX USER』
誌(以下UU)には、非常にお世話になりました [注11] 。バックナ
ンバーはほぼすべてそろっていますよ。

 とくに、 ’96年2月号の特集「PC上にネットワーク・サーバー
を構築しよう」を読んで、Webサーバーを作ることを決意したんで
す。実際、この記事を参考に、Linux上にWebサーバーを構築したの
で、感謝しています。

 結局、「草の根BBS局が作りたい!」とか「ネットワーク・サーバー
が作りたい!」といった目標があったからこそ、それに向かって一
生懸命に頑張ってこれたのだと思います。

 まずローカルのLANを組んでみて、pingコマンド [注12] を実行
し、「あ、動いた、動いた」と喜んで、DNSとWebサーバーを作りま
した。次にメール・サーバーとPPPサーバー、最後にゲートウェイ
を作りました。

 理想的な順序は、ゲートウェイ、DNS、メール、Webだと思います
が、私の場合は、興味がある順に挑戦していきました。自分のもの
が欲しかったということでしょうね。

Y:ネットワークを作るのも、手作りの工作や手芸と同じで、「モ
ノを作る楽しみ」という魅力があるんでしょうね。

A:確かにそうですね。昔からモノを作るのは好きでしたね。商売
には関係なく、自分が欲しいから作って、「こんなにいいもの、お
客さんに開放しないでどうする……」と思って、客室にも広げてし
まったわけです。

Y:素敵ですね。たまたま、ここに宿泊したお客様が、インターネッ
トの世界を知ることもあるでしょうし、今回のようにIPリーチアブ
ルな場所だと都合のいいイベント、あるいはこういう場所でないと
実施できないイベントに利用されるケースも増えるでしょう。

 特徴のある温泉旅館として、今後も、より多くの利用者が訪れる
ことをお祈りしています。今日は、合同宴会開催のために [注13] 
全室満室という、旅館側にとって非常に忙しい日にもかかわらず、
快く取材に応じていただき、どうもありがとうございました。


*後日談:ネットワーク構成の変更でルーターの設定に四苦八苦

 さて、安来苑の取材は2月27日に実施したのですが、その後、上
流の接続先がDIONに変更になったということを聞き、そのあたりに
ついて、4月下旬になってから、あらためてお聞きしました。

Y:お久しぶりです。4月に接続先を変更されると聞いていました
が、変更の作業はいかがでしたか。

A:4月20日に上流の契約先を、sphereからDIONに変更しました。
機器はほとんどそのままで、電話局の交換機の切り替え工事と、
NICへの変更申請だけで終わり、停止時間もわずかですみました。
ただし、ドメインの認識が、各ネットワークのキャッシュの関係で
伝達されるまでに時間がかかり、3日間くらいは接続できるところ
とできないところとがありました。その後は、新たな体制で順調に
稼働しています。

 いままで、ルーターまでをsphereに面倒見てもらっていたのです
が、今度はルーターも自分で管理します。シスコのルーターにした
のですが、英語のマニュアルに苦労しながら、ルーターをいじりま
わして、やっと設定コマンドの使い方を会得しました。

 シスコのルーターの設定は、ほとんどがコマンドです。しかも使
えるコマンドが各モードによって違っていて……。それを理解して
いなかったために、何度やっても変更が受け付けられず、さんざん
悩んでしまいました。

 今回、ネットワークの構成で変更したのは、IPアドレスの変更と、
これまでyasuragi.or.jpの下流ドメインとして運用していた
mgnet.or.jpとindera.or.jpをなくしたことです。今後は、新たな
ドメイン(grドメイン)を取得して、バーチャル・ドメインでの運
用になります。

 IPアドレスに関しては、yasuragi.or.jpとmgnet.or.jpと
indera.or.jpが取得していたクラスCのIPアドレスをすべて(3つ
とも)JPNICに返上し、その見返りに十分な数のIPアドレスを受け
取りました。使いもしないアドレスを大量に確保すべきではないと
判断したからです。

 さて、ここのシステムのように、サーバーがいくつにも分かれて
いるのは、安心といえば安心なんですが、今回のような変更がある
ときは、1台ずつ変更するわけですから、ちょっとしんどかったで
すね。そのための工夫として、時間がくれば自動的にファイルを差
し替えるようなシェル・スクリプトをあらかじめ組んでおいて、一
気に変更しました。

Y:なるほど。ではまた宿泊させていただける機会を楽しみにして
います。ありがとうございました。



[注1]  鷺の湯温泉

どじょうすくいで有名な「安来節」の発祥の地にある唯一の温泉。
毎分600リットルという豊富な泉源を持つ。それに比して旅館は安
来苑を含む3軒のみ。どこに泊まっても、温泉を24時間たっぷりと
楽しめる。効能は、傷や神経痛。


[注2]  安来苑

島根県安来市にある温泉旅館。宿泊(2食付き)で8,000円(税別)
から。和室宴会場は大人45名収容。和室が12室、定員45名。
http://www.yasuragi.or.jp/~yasugien/  参照。

安来苑へのアクセスは、JRを利用する場合、JR米子駅から車で30分、
JR安来駅からは車で15分。岡山から米子までは、特急やくも号で約
2時間。飛行機を利用する場合、最寄りの「米子空港」からは約45
キロ。車を利用する場合、大阪から(中国自動車道→米子自動車道)
約3時間30分。
http://www.yasuragi.or.jp/~yasugien/koutu.htm 参照。


[注3]  デジタル・アクセス64

30km以下の近距離を対象に、64Kbpsの回線速度を提供するデジタル専用線。


[注4]  記録整理(ログ監視)

昨年の秋以降、telnetで入ろうとして入れなかった記録が残ってい
るなど、クラッキングが非常に増えているそうだ。安来苑の各種サー
バーへのtelnetは、管理者のマシンを経由してしか入れないように
している。ちなみにこの管理者用のマシンは、使うとき以外『電源
を切って』あるそうだ。


[注5]  半年以上、何もかまってない

その後、4月になって上流プロバイダを変更したため、IPアドレス
の変更作業などを実施。詳しくは後述。


[注6]  10BASE-2のケーブル

Thin Wire、Cheapernetという別名もある。直径5mmの同軸ケーブル
で、10Mbpsの伝送速度を持つ。


[注7] 「常にネットワークは使っているから、温泉に来てまで使いたくない」

筆者はこのタイプ。一応、安来苑の客室端末の環境から外部に
telnetが可能なことだけは確かめたが……。


[注8]  Linuxが自分にとって何の役に立つのか

4月末発行の『ホップ! ステップ! Linux!』
という本を手にした安藤さんが
「私がLinuxに出合った当時、こんな本があれば、Linuxのイメージ
をつかむのにずいぶん役立っただろう」といってくださった。実は
この本には、Linuxユーザーの声として、安藤さんの写真とエッセ
イも載っている(p.102)。


[注9]  中国地方のLinuxユーザー会(LUCK)の設立総会

Linux Users group ChugoKuは、中国地方あたりのLinuxユーザーが
親睦を図るため勢いで作ってしまったグループ。「あたり」という
アバウトさがミソで、メンバーを中国地方在住の人に限定している
わけではないそうだ。安来苑での合同宴会の写真が、以下のページ
で公開されている。 http://luck.linux.or.jp/action/19990227.html


[注10]  クラスC

IPアドレスは、4バイト(32ビット)の長さを持ち、ネットワーク・
アドレスとホスト・アドレスに分けられる。ホスト・アドレスの長
さによって、クラスA、クラスB、クラスCと分けられ、そのうちの
クラスCは、32ビット中の8ビット(256個)をホスト・アドレスと
して利用する。


[注11]  『UNIX USER』誌にはお世話になった

ちなみに、UUでは「プレイ・パーソナルLinux」という連載が’94
年7月号からスタートしている。その第1回のタイトルは、「新し
い主流パッケージSlackwareのインストール」だった。UUを読み続
けていた安藤さんは、ずっと「ルート訪問記」も読んでくださって
いて、「よしだともこさんってどんな人だろう?」と思っていたそ
うだ。こんな人でした(笑)。


[注12]  pingコマンド

“ping マシン名”と入力して、相手マシンと通信可能かどうかを
調べるコマンド。“-s”オプションを付けると、より詳しい情報が
得られる(C-cで出力を止める)。


[注13]  合同宴会開催のために

合同宴会には、安藤さんから豪華な「刺身の舟盛り」が差し入れさ
れた。刺身好きな私は、最後まで刺身を食べ続けていたので、みん
なが部屋に引き上げるころになって、大急ぎでほかの料理を食べる
ことになってしまった。


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安来苑での“合同宴会”は参加組織4つ、参加者43名の大宴会!!


 本文にも書いたように、この取材を実施した2月27日(土)、温
泉旅館『安来苑』では、盛大な“合同宴会”が催されました。集まっ
たのは、

 ・その名も怪しげな「woyadi.org(ヲヤヂ連合)」が9名(東京
地区や関西地区から参加。 http://www.woyadi.org/ 参照)

 ・中国地方のLinuxユーザー会(LUCK)が子供8名を含め26名
(集まった名目は「設立総会」。家族参加も多かった。
http://luck.linux.or.jp/ 参照)

 ・前回のルート訪問先であるNaCl(ネットワーク応用通信研究所)
の方々

 ・ルート訪問記取材班が3名

を合わせた総勢43名(子供を含む)でした。

 このような大人数の宴会の幹事を担当していたのが、NaClの秘書
の瀬崎愛美さん。彼女がヲヤヂ連合の一員でもあり、前号で紹介し
たNaClへのルート訪問のコーディネートをしてくださったことから、
安来苑での宴会の計画がスタート。その後、中国地方のLinuxユー
ザー会(LUCK)の設立総会 [注9が加わり、最終的に4つの組織から
なる大宴会に発展しました。

 さて、このようなメンバーがIPリーチアブルな温泉に泊まるので
すから、当然、客室のパソコンはフル稼働することになりました。
とくに、常日ごろからIRC(Internet Relay Chat)の「#じゃぺー
ん」や、ニュース・グループ「woyadi.*」で結び付いているヲヤヂ
連合の方々は、部屋に着いた直後から設置されたパソコン
(Windows 95)に、IRCに必要なソフトウェアをFTPで入手してイン
ストールを始め、さらに持参したハブにノート・パソコンを接続し
て、複数がIRCできる環境を整えていました。

 環境構築後、「#安来苑」というチャンネルが作られ、全国に向
けての実況中継(?)がスタート。そして翌日、チャンネルが閉じ
られたあと関係ソフトウェアはアンインストールされたそうです。
「たつ鳥、跡を濁さず」ですね。そのあたりの詳細を、もりかわひ
ろかず(ヲヤヂ2号)さんと、堀井友美(ヲヤヂ66号)さんにレポー
トしていただきました。

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チャンネル「#安来苑」の出現から消滅まで 

もりかわひろかず/堀井友美

 安来苑の部屋のWindows上には、IRC環境を整えるためと各自が日
ごろメンテしているマシンへの作業のために、主に以下のソフトウェ
アをFTPサーバーから入手しました。

・CHOCOA(IRCクライアント環境を作るため)
・解凍ツール
・TeraTerm Pro(メンテ作業をするため)
・TTSSH(An SSH Extension to TeraTerm: 
TeraTerm用のSecure Shell)

 CHOCOAは、ベータ版が無料で公開されています。Windowsに入っ
ているtelnet環境は使い物にならないので、TeraTerm Proを使用し
ます。それだけでは安全ではないので、Secure Shell(ssh)を
TeraTerm上で使うためにTTSSHを用意しました。

 ちょうどその日、ある人がシステム管理しているサイトで運悪く
SPAMの被害を受けてしまって、その人はTeraTerm+TTSSH環境が整
い次第、復旧/対策のための作業をずっとしていました。

 IRCのサーバーは世界各国にあり、日本では今のところボランティ
ア・ベースで、学術機関を中心に置かれています。チャンネルは自
由に作れるようになっているので、安来苑に到着したわれわれは、
「#安来苑」というチャンネルを作りました。すると、物理的には
安来苑に来られなかった仲間も、そこに参加できました。到着した
日に作成され、夜中に多くの人が入ってきて、明け方、誰もそのチャ
ンネルにいなくなり、「#安来苑」は消滅したというわけです。

 安来苑をチェック・アウトする前に、インストールした環境はき
れいに消しました。CHOCOAはもちろん、CHOCOAはiniファイルに個
人の情報を残すので、それも消しました。ログが残っていると恥ず
かしいので、これは真剣に消しました。また、Windowsのアプリケー
ションの中にはレジストリに情報を残すものがあるので、1つ1つ
調べて消しました。「TeraTerm Proは残しておいた方が次の人のた
めだろう……」と判断し、これは残してきました。そして最後にデ
フラグを実行しました。

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安来苑の混浴岩風呂レポート:堀井友美

 安来苑の温泉はほかとはひと味違います。入り口はごくごく普通。
中に入ると大きな石がダイナミックな岩風呂ですが、まあ普通……
かと思って浴槽を奥へ奥へと進んでいくと、その先がUの字に曲がっ
ていて、曲がった先はなんと男湯! 入り口は男女別ですが中で男
湯と女湯がつながっていたんです。要するに混浴です。この一風変
わったお風呂に安心して入りたい方は、水着を用意していくとよい
でしょう。もちろん、水着なしで入ってもOKです。また、「混浴は
ちょっと……」という方には、これとは別に「家族風呂」もありま
すのでご安心ください。

 ちなみに、鷺の湯温泉は、神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運
動麻痺・関節のこばわり・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・
冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進・きりきず・やけど・慢
性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病・動脈硬化症、痛風・高血圧症・
慢性胆嚢炎・胆石症に効果があるそうです。

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(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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