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第50回 自分たちのネットの砦は自分たちでより安全に



1999年5月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第50回  自分たちのネットの砦は自分たちでより安全に

今回は、1999年2月11日に京都府城陽市で開催されたLinuxセミナー
の中心メンバーである“たなか としひさ”さん、“たなか こうじ”
さん、宗近龍一郎(むねちか りゅういちろう)さん、渡辺正幸
(わたなべ まさゆき)さん、“まちの さとし”さんなどに、
NetFortドメイン(netfort.gr.jp)のお話を伺いました。なお、当
日は公開取材という形をとったので、Linuxセミナーの企画・運営
や参加者の声なども併せてお届けします。


*Linux ConferenceのReal Video中継を担当

私(以下Y):それでは、公開取材をスタートさせていただきたい
と思います。今回のLinuxセミナー「みんなで仲良くインストール
大会、今日からあなたもLinuxer [注1]」は、LILOという団体 [注2]
の有志が主催されていますよね。LILOは、’98年12月18日に京都
で開催されたLinux Conference ’98において、Real Video中継を
実施 [注3] したチームとしても有名です。あのときはお疲れさ
までした。まずは、LILOという団体とNetFortとの関係を教えてい
ただけますか。

たなかとしひささん(以下TT):NetFortは、LILOという大きな枠
の1つの成果だと思っています。つまり、「LILOの支部がNetFort」
ということです。’97年6月、Linux Users MLでの宗近さんの「大
阪でもLinuxユーザーの会合をしよう」という呼びかけが、LILO誕
生のきっかけになっています。

宗近龍一郎さん(以下RM):他地域のユーザー・グループが楽しそ
うにしていたので、「大阪でもやりましょう」と呼びかけ、その日
のうちにメーリング・リスト(以下ML)を立ち上げました。’97年
の最初のミーティングに集まったのは12人で、これまでに6回のミー
ティングが開催されており、現在のメンバー数(ML登録者数)は約
130人となっています。

TT:NetFortドメイン(netfort.gr.jp)を作ったのは、LILOメンバー
の赤松 徹さんが自宅にOCNエコノミーを導入しており、「マシン
を持ち込めばサーバーが立てられますよ」といってくださったから
です。赤松さん自身も、当然、ネットワーク・サーバーを立ててい
ますが、「それだけではもったいないから」とLILOにもお話を持っ
てきてくださいました。これに対して、私は5分で「やらせてくだ
さい」と返事をしたんです。

 実は、その少し前に某大手プロバイダに入っていた“たなか こ
うじ”君が、アカウントを不正利用されたという話を聞いていたの
です。ちなみに、私たち2人のたなかは学生時代からの友人で、
gr.jpドメインをJPNICに申請 [注4] する際の役職では、私が
NetFortの代表で、こうじ君が副代表となっています。

たなかこうじさん(以下KT):私が利用していた某大手プロバイダ
では、申し込み方法として、通常利用以外にも全国共通アクセス・
ポイントの利用というものがあります。私はそれを申し込んでいな
いにもかかわらず、アカウントが発行されて、そのパスワードが不
正に利用されていました。というのも、ある日突然、約2万円の請
求が届いて驚き、アクセス・ログを取り寄せたところ、自分では使
用していないものだったのです。

TT:それが面白いんですよ。初めは1分とか2分なんですが、その
後、一気に9時間とか12時間になっているんです。バレていないと
分かったら、急に使い始めるんですね。そのときに2人で、「プロ
バイダにお金を払ってパスワードを盗まれるぐらいなら、自分たち
でドメインを立てた方がいい。その方が納得がいく!」という話を
しました。自分が立てたものでクラックされても落ち度は自分にあ
るので納得できますが、プロバイダに対してお金を払っているうえ
にパスワードが漏れるのは我慢できないと思いました。そこで、自
分たちでサーバーを立てるしかないと思い、2人でお金を出し合っ
てマシンとルーターを購入しました。

 しかし、「毎月3万8,000円のOCNエコノミー費用を2人で負担す
るのは厳しいなあ」と思っていたとき、赤松さんから「ドメインを
立てませんか」という申し出があったので即答したわけです。

 このサーバー(decaton.netfort.gr.jp)はRed Hat Linuxで運用
しており、ここでLILOのメーリング・リストも管理しています。こ
れに加えてLILOで利用希望者を募集し、現在17人がNetFortを利用
してメールの読み書きを行ったり、Webページを持ったりしていま
す(図1)。

 また、linux.or.jp(日本Linuxユーザ会)からは
lilo.linux.or.jpをいただいており、これはCNAME(別名)として
decaton.netfort.gr.jpに割り振られています。

Y:NetFortというドメイン名の由来は何でしょうか。

TT:これは、ネットのとりで [注5](砦:Fort)という意味です。
子供のころから秘密基地のようなものを作るのが好きだったので、
「自分たちでネット上に秘密基地を作ろうぜ!」という、まさにガ
キのノリですよ。あと、黒澤映画が好きなので、『隠し砦の三悪人』
というタイトルも影響しています。


*ポリシーは「入り口は広いけれど、カギは堅い」

TT:NetFortはこのようなきっかけでスタートしたので、セールス・
ポイントは「セキュア [注6] にしよう!をモットーにしている」
ことです。できるだけ、守りを固めようという方針をとっています。
 
ログイン認証に関しては、ssh(Secure SHell)とOTP(One Time
Password) [注7] を導入しています。通常のログイン認証では、
パスワード部分も平文(暗号化されない形)でパケットがやり取り
されるため、盗聴される恐れがあるのです。アクセスを制限する方
法には、IPアドレスで制限するTCP Wrapperもありますが、NetFort
を利用する人がどのIPアドレスから入ってくるかは限定できないた
め、これを用いることはできません。そこで、利用者には全員ssh
もしくはOTP、できれば両方を使ってもらっています。最低でもssh
ですね。

 ただ、会社のようなファイアウォールの中からは「sshではログ
インできない」というケースもありました。これは、sshの使う
TCP/IPのポート番号が、ファイアウォールによってふさがれている
ためです。しかし、telnetならログインできる場合があるので、こ
れでログインしますが、そのままではtelnet接続時にパスワードを
盗聴される可能性があります。

 この対策として、当初、SSL暗号パケットで送受信を行うtelnetd
を用いていましたが、クライアントも同じtelnetが必要なこと、ま
たクライアントの環境によっては接続できなくなるため、現在では
通常のtelnetdに戻しました。ですので、ファイアウォール越しに
入ってくる場合は、telnet+OTPですね。この場合、パケットの暗
号化は行われないため、パケットを盗聴されると何を行っているの
か分かってしまいますが、サーバーにログインしてパスワードの変
更などをしない限り、とくに問題はないと思います。また、OTPの
パス・フレーズの変更はサーバー上で作業を行う必要がありますが、
これはインターネット経由で作業しても、安全に遂行できます。

Y:OTPとsshについて、詳しく教えていただけますか。

TT:OTPは、いわゆる使い捨てパスワードの利用ですね。あらかじ
めパス・フレーズとして、自分しか知らない文字列を登録しておき
ます。そして、通常のログイン時には、

  (1)サーバーから種とシーケンスが送られてくる

 (2)その種とクライアントで入力したパス・フレーズから使い捨て
パスワードを計算

 (3)使い捨てパスワードをサーバーに送信

 (4)サーバー側は1回前のシーケンスに対する使い捨てパスワー
ドを保存しているので、それから今回のシーケンスを計算し、受け
取ったパスワードと比較して一致すればログインを許可

という仕組みでログイン認証されます。

 このとき、送られてきた種とパス・フレーズから使い捨てパスワー
ドを計算するには、専用のプログラム [注8] を使用します。これ
は特殊なものではなく、一般的にフリー・ソフトウェアとして出回っ
ているものが利用可能です。

 この方法なら、万が一盗聴されても、次は違うパスワードを使う
から大丈夫なんです。まあ、絶対安全かといわれると、そうでもな
いのですが……。

 一方、sshの方は、通信路を暗号化してホストの認証を行うもの
です。通常は、あらかじめ公開カギと秘密カギのペアを作成し、こ
れを登録して使用します。通信パケットが暗号化されるので、より
安全です。

 両者を比較すると、OTPは毎回ログインするたびに計算し直さな
いといけないですが、sshの方はパス・フレーズが変わらないので
便利です。ただし、ファイアウォール越しではsshが使えないので、
その場合はOTPを使ってもらいます。

 それから、電子メールを取り込むPOPパスワードに関してもセキュ
リティに気を使っており、APOP認証(POPのOTP版のようなもの)だ
けを用いています。

 このように、認証に関してはかなりきつめにしてあります。しか
しその一方で、どこからでも入ろうと思えば安心して入れるように
設定されています。極端な例だと、日本橋のPCショップのデモ機か
らでも安全にログインできるわけで、「入り口は広いけど、カギは
堅い」といったところですね。

Y:それは理想的ですね。

TT:理想かどうかは分かりませんが、ここまで徹底しているところ
はまだ少ないでしょう。NetFortのアカウントを持っているのは現
在17人と少ないため、これを周知徹底することが可能なのです。し
かし、たとえば1000人の大学生にsshを教えるとなると、教える側
に相当な負担がかかるでしょう。それを考えると、TCP Wrapperで
閉じるとか、限定されたシェルにしてしまうというのが一般的だろ
うと思います。

Y:「ssh? OTP? 分かんな〜い」というユーザーが多いと、導
入は無理でしょうね。OTPを使うには、自分でパッケージを持って
きてインストールする必要がありますよね。

TT:はい。OPIEというパッケージ [注9] を使用します。インストー
ルすると、/bin/loginと/bin/suと/usr/sbin/in.ftpdなどが、同名
の異なるプログラムに置き換わります。

 また、メールの面でも、不正中継 [注10] は全部リジェクトする
ようにしてSPAM [注11] 対策を施しています。これについては、
sendmail管理者のこうじ君から説明してもらいましょう。

KT:IPアドレスを見て、NetFortにくるメールとNetFortから出てい
くメールは受け付けますが、外からきて外へ出ていくメールは全部
拒否しています。

TT:つまり、「接続した人のIPアドレスと、RCPT TO:のアドレスが
違っていれば、SPAMと見なしても問題ない」という運用をしていま
す。以前は、より厳しく運用していたのですが、それによって「私
はNetFortのルートなのに、NetFortからはメールが出せないよ〜」
という非常に情けない事態が発生したので戻しました。というのも、
私は普段、po.iijnet.or.jp を使っているのですが、このホストが
SPAMを出すブラック・リストのデータベースに登録されてしまった
のです。

KT:このブラック・リストはMAPS RBL [注12] という名前で、SPAM
を出すサイトのIPアドレスがデータベース化されたものです。これ
を利用すると、sendmailが接続要求を受けた際に接続元のIPアドレ
スをデータベースから検索(DNSを利用)し、もし見つかれば接続
を拒否します。

 ほかにも、現在利用していませんが、ORBS [注13] というのもあ
ります。これはSPAMだけでなく、第三者からのメール中継ができて
しまうサイトを片っ端から登録していきます。もっとも、NetFort
が登録されてしまったら余りにも情けないのですが、そのへんの対
処は施したつもりです。

 このようなより厳しい運用は、ケース・バイ・ケースで各サイト
のポリシーに従って採用すべきでしょう。

RM:SPAM対策(メールの中継は全部リジェクトする)のために、不
便な面もあります。たとえば、私は家からプロバイダにPPP接続し
メールを出すのですが、その場合、NetFortをSMTP先に指定してメー
ルを出すことはできないのです。

TT:それを許可してしまうと、SPAMの温床になってしまいます。た
だし、このようなケースに対処するため、「POP認証がとおったIP
アドレスに対して、5分間だけメールを送ることを許可する」とい
うパッチがあるんですよ。

Y:なぜ5分間なんですか。

TT:メールを書き終わってから、POPで一度空読みして送信すれば
よいので、5分あれば十分なんです。それを1時間にすると、SPAM
対策にはなりません。POPでコンコンとノックしたときだけ、
sendmailがドアを開けるという仕組みですね。この仕掛けを、これ
から用意する予定です。

Y:NetFortの利用規定などを教えていただけますか。

TT:現在、NetFortの利用者からは、一般が毎月2,000円、学生は毎
月1,000円の運営分担金 [注14] を集めています。ディスク容量は
1人200Mバイト以内なら、MLをいくつ立てても、Webページをどれ
だけ開いてもかまいません。今後、30名程度までは増やしたいと思っ
ています。


*インストール大会について

Y:では次に、まちのさんから今日のインストール大会について説
明していただきたいと思います。

まちのさとしさん(以下SM):今日のインストール大会は、
「Linuxには興味あるけれどインストールが難しそう」という人や、
「インストールはしてみたが、うまく動かなくて困っている」人を
対象にした初心者救済セミナーとして企画しました。しかし、ふた
を開けてみると、かなりLinuxに詳しい参加者や、ほかの地区で同
じようなイベントを実施したいから見学に来られた方などもいらっ
しゃったようです。

 内容としては、まず午前10時のセミナー開始時に、簡単に全体で
のガイダンスを行いました。その後、参加者の希望によってSlack
ware系のPlamo Linux、Debian GNU/Linux、Red Hat Linux系のVine
Linuxという3つのグループ [注15] に分かれていただき、インス
トール作業に移りました。

Y:このようなイベントを開催されたのは、どのような理由からで
しょうか。

TT:やはり、Linuxコミュニティへの貢献でしょう。この企画をい
い出されたのは、まちのさんと渡辺正幸さんで、私たちはこれに賛
同しボランティアとして参加しました。

Y:渡辺さんは、今日のインストール大会に自作のサーバーを持ち
込まれていましたね。このサーバーの中身や今日のネットワーク構
成を教えていただけませんか。

渡辺さん:今回、サーバーとして使用した「おばQ」は、松本さん
のおばQ [注16] に刺激されて製作したものです。ブック型の本体
に20Gバイトのハードディスクを載せたLinux BOXで、ハードディス
クの容量は今回のような会合でIPリーチャブルな環境が用意できな
かった場合にファイル・サーバーとして使用することを考慮したも
のです。小わきに本体だけ抱えて行って電源を入れれば、どこでも
最新のファイルが使えることを目指し、日夜ミラーに励んでいます。

 今回は、NFSとFTPサーバーとしての初舞台だったので多少の不手
際もありましたが、CD-ROMが使えないノートPCへのインストールな
どに威力を発揮しました。今後、接続している人数などもLCDに表
示する機能を追加したいと思っています。

 また、今日のネットワーク構成は、図2のようになっていました。
ネットワーク設定はIPアドレスを192.168.0.xxのローカル・アドレ
スとし、xxの部分に受講者の受け付け番号を使っていただきました。
これは名案だったと思います。ネット・マスクは、255.255.255.0
としました。

 狭い部屋に何本ものケーブルをはわせたので、10BASE-Tのケーブ
ルに引っかかって転びそうになった人や、引っかかったケーブルの
先のマシンが机から落ちそうになったこともありました。

Y:ところで、今回は事前に「電源容量は足りるか」という計算を
されましたよね。

SM:会場の電源使用量に制限(2Kワット以下)があったので、
「インストール中に一斉に電源が落ちる」なんてことになると大変
ですから、念入りに計算しました。具体的には、ノートPCが1台当
たり70ワット程度、デスクトップならディスプレイを含めて200ワッ
ト程度(起動後は150ワット程度)と考えて、一度に使うマシンの
台数を決めました。

 また、この会議室に入れる人数が、消防法の関係で最大60人まで
と決められていたので、こちらもぎりぎりでした。

Y:そのほかにも、今日のために、あらゆる面での作業がありまし
たよね。代表的なものとしては、

 ・各種MLやWebなどを中心としたアナウンス
 ・希望者へのCD-R制作
 ・事前に行ったインストール希望者のマシンでのLinux動作チェッ
クおよび質問に関する調査
 ・参加者リストをWeb上で回覧(パスワード付き)
 ・セミナー当日の資料の作成およびコピー(リスト)
 ・アンケートの作成
 ・Linux Users MLの過去のログを全文検索可能に編集
 ・昼食や懇親会の場所の設定

などですね。でも、これだけの準備に見合う成果があったように思
います。見える成果としては、一般参加者から持ち込まれた合計17
台のPCで、Linuxが動き出したことですね。今日の参加者の方に、
感想を伺ってみましょうか。

参加者Aさん:1年ほど前からLinuxのことが知りたくて、自分で
書籍や雑誌を読んでいました。近ごろでは、新聞にも頻繁にLinux
という文字が登場し、「Windowsに代わるOSになる」といわれてい
ますが、どうもイメージがつかめずにいました。しかし、今日1日
でLinuxというものが何か分かりました。加えて、私の持ってきた
ノートPCにもLinuxをインストールでき、Xのきれいな画面が出た
ときは非常に感激しました。

Y:何冊かの書籍を読むよりも、こういう場で見たり聞いたりする
方がイメージはつかみやすいですよね。

参加者Bさん:私も今日、古いノートPCを持ち込み、Debian
GNU/Linuxのインストールに挑戦させていただきました。といって
も、お助け隊の方の奮闘を見ていただけであり、あらためてコミュ
ニティのありがたさを実感しました。私もこれまで、いろいろな書
籍や雑誌を読んできましたが、今回、直接皆さんにお会いできて急
に身近に感じることができましたし、若い皆さん [注17] からエネ
ルギーをもらいました。ありがとうございました。

Y:このようにいっていただけると、うれしくなってきますね。

SM:でも、インストールが完了したというのは、まだスタート・ラ
インに立っただけなんですよね。ここから先は、いかに自分で努力
されるかですね。最初はタコさんでも、多少の荒海も自分の力で生
き延びていく強いタコ、自分で成長していく大タコであってほしい
と思います。そのためのガイド役なら、できる範囲で協力したいと
思います。

 そして、今回参加した方が、次回以降のセミナーにスタッフとし
て来られたらうれしいですね。

Y:そうですね。今回のスタッフの姿から、このコミュニティの強
さや楽しさが分かってもらえたと思いますよ。企業の実施する参加
費1日数万円のLinux講習会がある中で、今回のような自主セミナー
もいいなあと思いました。私自身、今回のセミナーは、準備段階も
含めて非常に楽しませていただきました。皆さん、今日は本当にお
疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

 その後、一般参加者も交えた32名で懇親会 [注18] が実施されま
した。懇親会では、Linuxのカーネルのコンパイルを始める方がい
たり、mp3playerを日本語化して歌詞表示機能を追加したreplay
[注19] で音楽を鳴らす方がいたりと、非常に楽しい会になりまし
た。懇親会の幹事もしてくださったまちのさん、本当にお疲れさま
でした。

 さて、このセミナーの第2弾として、’99年4月25日に大阪で
LILOの有志主催によるLinuxインストール・セミナーが開かれます。
対象は、

 ・興味はあるけど思い切れず、まだLinuxをインストールしたことのない人
 ・Linuxはインストールしてみたが、どうにもうまくいかない人

です。詳細は、

http://lilo.linux.or.jp/

のLILOホームページからたどることができるので、興味のある方は
ご覧ください。なお、筆者は次回も参加を予定しております。


[注1]  みんなで仲良くインストール大会、今日からあなたもLinuxer

このイベントは城陽市の文化パルク城陽にて開催され、参加費は会
場費と飲み物の負担500円のみ。一般参加者は約40名で、その半数
はインストールを希望してマシンを持ち込まれた。
当日の写真が、
http://lilo.linux.or.jp/event/seminar_1st/
で公開されている。


[注2]  LILOという団体

LILO(リロ)は、Linux Install Learning Osakaの頭文字を取って
命名されており、Linuxのブート・ローダーLILO(Linux Install
boot LOader)とごろを合わせている。もちろん、だれでも自由に
参加でき、MLのトラフィックは1日に10〜20通程度。詳細は、
http://lilo.linux.or.jp/event/ 参照。


[注3]  Real Video中継を実施

中継では、デジタル・ビデオ・カメラ2台、ビデオ・ミキサー、エ
ンコード用のPCを会場に置き、エンコードしたデータを会場外のサー
バーから配信した。当日は、400クライアント以上(同時に160クラ
イアント)の利用者がおり大盛況だった。当日使用したサーバーは、
IIJ-MCとiSiD(電通国際情報サービス)から提供されたものである。
なお、このときのデータが、付録CD-ROM に収録されている。


[注4]  gr.jpドメインをJPNICに申請

gr.jpドメイン(任意団体のドメイン)をJPNICに申請する際は、代
表者2名の印鑑証明が必要。


[注5]  ネットのとりで

たなかとしひささんの「ネットのとりで」という返事を聞いて、
「えっ? そういう名前の鳥がいるんですか?」と聞き返した筆者
は、ギャラリーから「ナイス・ボケ〜」といわれてしまった。最近、
「よしだともこ、天然ボケ説」がささやかれているようだ(笑)。


[注6]  セキュア

secureは、「安全な、危険のない、保証された」という形容詞であ
り、また「安全にする、危険から守る」という意味の動詞でもある。
名詞形では、ご存じsecurity(セキュリティ)。


[注7]  ssh(Secure SHell)とOTP(One Time Password)

sshは、「セキュアシェル」あるいは「エスエスエッチ」と発音す
る。sshやOTPのインストールから使い方までの詳しい解説が、あら
きやすひろさん(LILOのメンバー)のWebページで公開されている。


[注8]  専用のプログラム

OTPを計算するプログラムには、UNIX用のdonkey、Windows用の
WinKey、Palm Pilot用のPilot/OTPなどがあり、そのほかMacintosh
で動くものやシャープのザウルスで動作するものも存在する。なお、
donkeyは
ftp://ftp.aist-nara.ac.jp/pub/Security/tool/donkey/ 
から、その他のプラットフォーム用は
ftp://ftp.aist-nara.ac.jp/pub/Security/tool/skey-key/
から入手可能。


[注9]  OPIEというパッケージ

OTPを使うために(サーバーに)インストールするパッケージの名称。


[注10]  不正中継

メールの不正中継とは、外部の発信元(SENDER)が、あるメール・
サーバー(MAIL SERVER)から不特定多数(RECIPIENT)に対してメー
ルを送り付けること。1通のメールのあて先(RCPT TO:)に無数
(実際には、ある一定の範囲内)のメール・アドレスを列記できる
ため、SENDERからMAIL SERVERへ1通送るだけで、あとはMAIL
SERVERがそこから数十、数百といったメールを配送してしまう。主
な被害は、「計算機資源が食いつぶされる」、「受信者からの抗議
や苦情メールへの対応」、「自組織の信用を失う(ブラック・リス
トに掲載される)」など。


[注11]  SPAM

SPAMとは、一方的に送りつけられる、また無差別にクロス・ポスト、
マルチポストされる風俗関係サイトの宣伝や物品販売などを目的と
したジャンク記事。ちなみに、SPAMの語源は食品の名前であり、
Hormel Foods Corporationが「スパム(spam)」を商標として登録
している。電子メールでのSPAMは、Unsolicited Bulk Email(UBE)、
Unsolicited Commercial Email(UCE)と表記することもある。


[注12]  MAPS RBL

the Mail Abuse Prevention Systemとour Realtime Blackhole
Listの略。SPAMを出すサイトのIPアドレス・データベースの名称。


[注13]  ORBS

the Open Relay Behaviour-modification Systemの略。


[注14]  運営分担金

この分担金は、主にマシンを置かせてもらっている赤松さんへの費
用の支払い(主に電気料金)、機器増設費のプールとなっている。
NetFortでは200Mバイト以内なら1人で何個でもMLを立ち上げても
よいわけだが、現在1番規模の大きいMLは半年前にできた“Oracle
for Linux”(約600人が登録)である。


[注15]  3つのグループ

当日使用された3つのLinuxディストリビューションは、Debian
2.0(hamm)/ 2.1(slink)、Vine Linux 1.0β、Plamo Linux
1.3.1である。


[注16]  松本さんのおばQ

LILOメンバーの松本徳真(matsu@netfort.gr.jp)さんによって試
作されたLinuxを使ったインターネット・サーバー。キーボード、
マウス、ディスプレイのないPCで、小さなLCD表示器が付いており、
電源ボタンでシャットダウン可能。Cobalt Qubeの愛称「こばQ」を
もじって、「おばQ」という名前が付けられた。詳しくは、
http://www.netfort.gr.jp/~matsu/lcd_pc/lcd_pc.html 参照。


[注17]  若い皆さん

アンケートを提出した参加者の年齢分布は、20代が10名、30代が10
名、40代4名、50代2名、60代1名となっている。お助け隊(20代、
30代)と比べると、一般参加者の年齢層が多少高い。ちなみに、女
性の参加者は筆者を含めて5名だった。


[注18]  懇親会

懇親会の会場(中華料理の店)の名前は「シェル」なので、「b定
食、ba定食、tc定食、z定食があるのだろう」といいながら会場に
向かった人がいたらしい。実際は、同店の経営を向かいのシェル石
油が行っているためにそのような名前になったようだ。


[注19]  replay

MP3プレーヤであるreplayのオフィシャル・サイトもある。
MP3プレーヤとしては、ほかにもgqmpeg(GPL)などが存在する。
懇親会でreplayのデモを行っていた樽木大介さんは、
replayおよびgqmpegの日本語化を行っているそうだ。


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(リスト)スタッフによって作成されたセミナーでの配布資料
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1. Plamo Linux 1.3.1 の Note PC へのインストール手順
2. Plamo Linux のインストール直後の root パスワードの変更
3. Plamo Linux における一般ユーザアカウントの作成 ( 英語版 )
4. 一般ユーザアカウントの作成 ( 日本語版 ) およびユーザアカ
ウントの削除、ユーザアカウントのグループへの追加
5. ユーザー関連資料(Linuxの起動と終了、ユーザー設定・管理)
6. rpm コマンドの簡単な資料
7. loadlin の解説書
8. 「Linux セミナー in 京都」のアンケート

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以上


(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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