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第42回 「イントラネット構築」を裏でささえるシステム管理者たち



1998年9月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第42回 「イントラネット構築」を裏でささえるシステム管理者たち

今回は、東京都中野区に本社のある株式会社電通国際情報サービス
 [注1](以下ISID)の本社技術部コミュニケーショングループの
龍尾桜子(たつお さくらこ)さんと西田順子(にしだ じゅんこ)
さんを訪ねました。お2人は、全社のコンピュータを支えるネット
ワークを管理・運用されているということで、そのあたりを中心に
お聞きしました。なお、会社の紹介については、同社広報グループ
の土肥篤郎(どひ あつお)さんにお答えいただきました。


*情報通信分野での社会貢献の1つとして学生論文を募集

私(以下Y):こんにちは。「ISIDでは2人の女性が中心となって、
1000人以上の社員の1日約3万通にものぼるメールと、約2000台の
コンピュータのネットワーク管理・運用をされている」とお聞きし
て、取材にやってきました。そのあたりのお話を聞く前に、土肥さ
んから、ISIDについて簡単に紹介していただけますか。

土肥さん(以下D):当社は株式会社電通と米国GENERAL ELECTRIC
(以下GE)との合弁により、1975年に設立されました。設立から10
年間は、GEの大型コンピュータ・センターのリソースを通信衛星と
海底ケーブルを介してご利用いただく「TSS(Time Sharing
Service)」を提供していました。その後多角化を図り、現在は
「システム開発」、「パッケージ・ソフトウェアの販売」、「ネッ
トワークなどの情報処理・通信サービス」の3つが柱となっていま
す。

 また、イギリス、ベルギー、米国、香港、シンガポール、マレー
シアに拠点を持っており、グローバルなシステム構築ができる数少
ない企業の1つだと自負しています。 ’98年4月には、インター
ネットを利用した企業間電子商取引(EC:エレクトロニック・コマー
ス)を支援するECソリューション提供事業に注力すべく、EC事業部
を発足させました。この分野は将来性が非常に高いため、「ECなら
ISID」といわれるようになりたいと考えています。

Y:なるほど。ところでISIDでは、毎年、学生を対象とした情報通
信論文を募集されていますね。以前、友人が入賞して [注2] 奨学
金をもらったことがありました。

D:「学生・情報通信論文 [注3]」は、当社の創立15周年記念事
業の1つとして設立したもので、今年で8回目になります。次代を
担う大学生(短大を含む)や大学院生の方に、情報通信への期待・
要望・夢を語っていただく機会を提供することが目的です。分量は
4000字程度で、郵便に加えて電子メールでも応募できます。応募の
締め切りは’98年11月末となっており、入賞者には奨学金が贈られ
ます。

Y:UNIX USER誌での広報によって、コンテストがますます盛り上
がることを祈っています。


*中央管理方式による安全なネットワークの提供

Y:次に、ISIDの社内ネットワークについて教えていただけますか。

龍尾さん(以下T):はい。FDDIの全社バックボーンがありまして、
ここから3つの支線に分かれています。1つがATMでつながってい
る管理部門と営業のネットワーク、もう1つが開発部門(中野、高
田馬場、新宿)、そして3つ目がCAE(Computer Aided
Engineering)部門です。そのほかの拠点としては、築地、大阪、
名古屋、広島、三鷹があります。また、外部へは東京インターネッ
トを介して接続されています。

 コンピュータの数は2000台以上、メール・アドレスを持っている
人数は1600人程度です(これには常駐されている協力会社の方々も
含みます)。そして、1日約3万通のメールがやり取りされていま
す。なお、同ネットワーク内のルーター [注4] の数は、約70台で
す。

西田さん(以下N):会社の規模やコンピュータ数から、約70台の
ルーター、すなわちこれほどのセグメント数を多いと感じられると
思います。これは、同じ社内とはいえ開発部門の各プロジェクトご
とに守るべき情報があるため、それぞれを別のセグメントにする必
要があるからです。

T:とくに開発部門の場合、同じ社内でも、たとえばライバルのお
客様の仕事(ソフトウェア開発など)をしていることがありますか
ら、プロジェクトごとにある程度独立したネットワークを作る必要
があります。そこで、プロジェクトごとにルーターを置き、別のセ
グメントからは入れないよう厳しく制御しているわけです。

Y:なるほど。大学の研究室などのネットワーク管理とは、かなり
異なりますね。

T:社内には社員数(約800人)を超える数の協力会社の方々がい
らっしゃることもあり、だれでもアクセスできるようなネットワー
クでは問題があります。さらに、仕事の関係上、お客様の会社と専
用線でつながっているネットワークもあるため、その部分はとくに
きつくルーターで締めつけています。

 ユーザー側でセキュリティの重要性を自覚している場合はよいの
ですが、そうでないときもあります。そこで、常に私の方で「セキュ
リティ的に危ない場所」がないか、しっかり見張っています。ネッ
トワーク全体をこちらで管理しているため、自分たちで勝手にルー
ターを持ってきて接続することはできません。加えて、IPアドレス
の指定も集中管理しており、ネットワーク監視ツールOpenView [注5]
によって勝手に変なIPアドレスが使われないようにしています。

 同ツールでは、主にルーターやサーバーの状況を監視しています。
これらがダウンした場合には、管理者にメールが届きます。それ以
外にも、ルーターにログインして設定を変更する際にはこちら側に
通報されますし、DNSに登録していないIPアドレスのマシンを勝手
に接続しようとすると「そんなのないよ」というメールが届くよう
になっています。

 また、こちらからIPアドレスを配布する場合、すべてのマシンの
MACアドレス [注6] を聞いています。そのため、トラブル発生時
もIPアドレスからマシンと持ち主が特定でき、IPアドレスの重複が
すぐに解決できます。

 中央管理の最大のメリットは、全体のセキュリティ・レベルを統
一できることでしょう。ネットワーク内に弱い部分が1つでもあれ
ば、そこが弱点になってしまうわけですが、このネットワークでは
ユーザー側で勝手なことができないため、ネックになる部分があり
ません。その結果、非常に安全なネットワークが実現できています。

N:また、モデムに対する外部からの着信も許可していません。外
線から着信できる回線には、基本的にモデムは接続できないように
なっています。

T:業務上、どうしても外部からの着信でモデムを利用しなければ
ならない場合は、社内ネットワークから切り放し、スタンドアロン
状態での運用となります。

Y:名古屋、大阪、広島のような、別の拠点のネットワーク管理は
どうされているのでしょうか。

T:IPアドレスなどに関しても、やはりすべて中央管理しています。
ルーターの設置・設定はこちらで担当し、そこから先のネットワー
ク構成に関しては現地の(ネットワークに詳しい)社員に協力して
もらいます。この方たちは専任ではありませんが、業務の一部とし
てシステム管理を担当しています。

 名古屋、大阪、広島のような別の拠点に限らず、社内の各部署に
は社内LANに関する取りまとめ役の方が存在します。そのため、わ
れわれと各部門との間で、IPアドレスの管理・申請や情報コンセン
トの番号の管理などをやり取りする場合には、この方々に窓口になっ
ていただいています。何か問題が起きた場合は「まず、その管理者
に問い合わせる」という方式にすることで、話も通じやすくなり、
また個人が部署を異動するケースでも個別に対応する必要がなくな
ります。自分の範囲は責任を持って対処していただけるので、こち
らもこの体制になってからずいぶんと楽になりました。

 情報コンセントは1人の机に通常1個配置されており、3つある
口の1つが電話線用です。各口は、Y分岐を使用すれば2つに分岐
できるため、最大でLANが4口、電話が2口出せるようになってい
ます。その中の1口は、各部署で主に使うセグメントを割り当てま
す。こうすることで、無条件で使える口が1つ確保されるため、各
部署でちょっとした席替えがあっても、ユーザーとしてはこちらに
連絡する手間が省け、こちらも作業の手間を省くことができます。

N:会議室にも、情報コンセントは用意されています。基本的に、
会議室はスイッチング・ハブ [注7] を使って盗聴されることを防
止しています。これは会議室だけではなく、開発部門も基本的にス
イッチング・ハブを使うことでセキュリティを固めています。せっ
かくファイアウォールで社内を守っていても、そのあたりが弱けれ
ば何にもなりませんから。

Y:念には念をいれていることが、よく分かりました。ところで、
ネットワークがこのような中央管理的になったのは、いつごろから
でしょうか。

N:全社的に情報コンセントを引いたり、バックボーンにFDDIの光
ケーブルを引くなど、ネットワークを新しいものに切り替えて現在
の形を作り上げたのは’96年2月です。全社員に電子メール・アド
レスを与えて「全社電子メール」をスタートしたのは、その前年の
7月でした。

 ただ、このビルができた’88年ごろから、開発部門の担当者が必
要に応じてLANのケーブルをつないでいくという形で社内ネットワー
クはスタートしており、電子メール、ネット・ニュースの利用も可
能になっていました(JUNETに接続したのは’90年)。そういった
流れからできていたネットワークを、 ’96年、完全に引き直して
新しくしたというわけです。

T:FDDI集線装置、ATM、ルーター、パッチ・パネル、光パッチ・
パネル、各種サーバーなどは、このビルの1階のネットワーク・オ
ペレーション・センター [注8] と呼ばれる部屋にまとめて置かれ
ており、ここから各階のフロア配線盤につながっています。フロア
配線盤の中には、パッチ・パネル、光パッチ・パネル、スイッチン
グ・ハブがあり、ここから各デスクの情報コンセントに接続してい
ます。


*標準ソフトウェアをインストールしたPCを社内に配布

T:コミュニケーショングループは、社内インフラの管理やメール・
サーバーおよびWebサーバーの管理について、ハードウェアからシ
ステム構築まですべて担当しています。この部署には、「ソフトウェ
ア導入のサポートや電子メール・ソフトの使い方を教えたり、PCの
設定をするなどのユーザー・サポート部隊」、「サーバーに対して
ユーザー登録をしたりIPアドレスを割り振る部隊」、「情報コンセ
ントのパッチ・パネルを切り替える部隊」があります。

 私たち2人の持ち場としては、Webサーバーの管理・運用の方面
を西田が担当し、私はネットワークまわりを担当しています。具体
的には、ネットワークの移設・拡張・再編成などを含めた運用です。

 ISIDには、「標準的なPCを全社員に配る」という原則があります。
ただし、開発などの業務上、それが適さない人は、自分の能力の範
囲で必要なものを購入しています。私たちの部署では、この標準機
種についてのサポートを行っています。しかも、標準環境というも
のが決められており、その標準環境のソフトウェアをインストール
して社員に配布しています。使用中に問題が発生しても、社内標準
機であればこちらでサポートします。

 具体的には、Office 95、Netscape Communicator、Winbiff [注9]、
VirusScan、TeraTermなどです。そのほかにも、FTPやファイル圧縮・
解凍、画像イメージ取り込みのツールなど、「これだけあれば、普
通に使う分には困らない」というものをすべてそろえています。

 標準メーラーがWinbiffなのは、

 ・Subjectに日本語が使える
 ・MIMEエンコーディングが可能
 ・ 日本語の文字コードとしてJIS(ISO-2022-JP)を使用

という3つの条件を満たすものとして推奨しているだけで、これら
の条件を満たせばmh-eやMewでもかまいません。本人がよく分から
ないまま「JIS(ISO-2022-JP)ではない日本語文字コードを送信す
る」ことのないように、Winbiffを標準と定めているだけです。

Y:なるほど。Windows上には、使ってほしくないメーラー [注10]
もありますからね。

N:メーラーに限らず、よく分かっていない人には使ってほしくな
いソフトウェア、インストールしてほしくないソフトウェアという
ものは存在します。

T:「このソフトウェアをインストールすると、こんな障害が出る」
ということは、ある程度分かっています。障害が出たときに自分で
直せる人がインストールする分にはかまわないのですが、興味本位
でインストールされて「動かなくなったから直してくれ」といわれ
て困ってしまうこともあります。リカバリする場合、こちらとして
は「社内標準環境まで戻す」お手伝いをするわけです。

Y:ところで龍尾さんは、入社されてからずっとこのお仕事をされ
ているのでしょうか。

T:いいえ。私は今年で入社6年目ですが、この業務についたのは
約2年前です。それ以前は、株主で技術提携先のGEISのアプリケー
ション・サポートやシステム構築の技術サポートを担当していまし
た。部内のインフラ管理などを行っていたこともあり、ネットワー
ク技術 [注11] をぜひ身につけたいと思っていました。現在は、EC
部門を兼任しています。

N:私の方はISIDに入社したのは’89年で、その前に丸3年間、別
の会社の情報通信システム部にいました。ISIDでは、最初の5年ほ
どは金融系などのシステムのアプリケーション開発をPC上やUNIX上
で担当し、4年ほど前に現在の部門でネットワークの仕事をするよ
うになりました。

 当時のネットワークの形は現在とはまったく異なっており、いわ
ゆる各部門にハブがゴロゴロころがっているような状態でした。そ
のため、サポートの内容も、席替えの際に「ハブにつなぎたいんだ
けど、前にいた部門がハブを持っていってしまったんです。どうし
ましょう?」と相談され、「このハブが余っているようだから、こ
れを使いましょう」と対応したり、ときには「LANの調子が悪い」
といわれて現場に行ってみたら、「だれかがけ飛ばしていて、ハブ
のスイッチが切れていた」という世界でした。

 また当時は、部署によって「ネットワークにつながらない。なぜ?」
ということも許されたわけですが、現在では接続できないだけで開
発部門以外でも業務がストップしてしまうのですから、その分、運
用には手がかかりますよね。

T:確かに、メールがちょっと使えなくなるだけで大騒ぎですから
ね。また、全社員がネットワークを使うようになり、ユーザー・レ
ベルの幅が出てきたため、「つながらない」といわれても、あらゆ
る理由が考えられるようになりました。「ソフトウェアの設定が違
うケース」、「ケーブルを差すのを忘れていたケース」、「差し方
が緩かったケース」、「ハブやケーブルが壊れているケース」など、
もう多種多様です。

Y:そうなると、どうしても残業などが多くなるのでしょうか。

T:「残業がとても多い」というわけではありませんが、土曜日や
日曜日の間にやらなければならない仕事は多くなりますね。開発部
隊などは、土曜日や日曜日でさえネットワークを止められない場合
もありますから、それを調整しながら作業日を決めています。


*ポリシーのある電子メール運用体制

Y:ISIDのメール・アドレスの管理について教えてください。

T:現在は、入社と同時に人事に希望のメール・アドレス [注12] 
を提出することになっており、これは退社するまで変更できません。

 また、退職すれば、その日の夕方5時半にメール・アドレスは削
除され [注13]、それ以降、そのあて先に送られたメールはあて先
不明で相手に返送されます。削除されたメール・アドレスは永久欠
番とし、新たに入社した社員に再利用されることはありません。再
利用すれば、そのアドレスの以前の持ち主に送ったものが、新しい
持ち主に届いてしまう危険があるからです。社外のメーリング・リ
ストに入っていて、脱退の手続きをとらずに退職してしまうような
無責任な人もたまにいて、SPAMメール [注14] が発生するケースも
あります。

 現在は、1台のマシン(SunOSがインストールされたSS20)でメー
ル・サーバーを運用していますが、ちょうどリースが切れるため、
8月にはEnterprise 450(Solaris)への移行を予定しています。
Webサーバーを移行する場合、2台を同時に立てておき、順次移行
できますが、メール・サーバーでは一気に実施することになり、苦
労しそうです。


*社内向けWebサーバーで各種サポートを提供

Y:西田さんは、Webサーバーまわりのお仕事をされているという
ことですね。

N:私たちの部署が現在のような分業体制になる前は、私自身、OS
のインストールから各種サーバーの構築まで、いわゆる「ルートの
仕事」全般を担当していましたが、いまでは分業体制がはっきりし
ています。OSのインストールは別の担当者が行うため、私はWebマ
スターとしてWebサーバーの移行(ちょうどいまNetscape
Communication/Commerce ServerからEnterprise Serverへ移行中)
を行ったり、サーバー上で各種サービスの提供を行ったりしていま
す。

 Webサーバーは、立ち上げること自体より、そこでどのようなサー
ビスが提供できるか、すなわち運用面がより重要になってきます。
当社では、氏名からメール・アドレスや部署を検索して顔写真とと
もに表示するシステム(yorozuya)があり、高い頻度で利用されて
います(逆にメール・アドレスから検索したり、グループ・アドレ
スのメンバー一覧を表示することも可能)。さらに新サーバーへ移
行後は、個人ごとのコンテンツ未読/既読管理なども行えるように
する予定です。

 また、先に述べた標準ソフトウェアは、すべてyorozuyaからダウ
ンロードできるようになっています。ユーザーは氏名、パスワード、
インストールするPCの管理番号を入力してソフトウェアをダウンロー
ドしますが、サイト・ライセンスを取得したり、ボリューム・ディ
スカウントを利用してまとめ買いしたソフトウェアについては、こ
の運用方法が大変重要な意味を持ってきます。

 さらに、社内ユーザーからの質問への返答、いわゆるFAQ
(Frequently Asked Questions)も掲載しているため、ここにある
ような質問メールが届いたときは「このページを参照」とURLを1
行だけ書いたものを返送できます。そのほか、メーリング・リスト
のメンバー検索ページ、情報コンセントの使用者一覧、セグメント・
アドレス一覧などの情報も提供しています。さらに、各拠点のネッ
トワークの混み具合いは、MRTG [注15] で社内に公表しています。
「ネットワークが遅い」と文句をいう前に、これを見て「本当にネッ
トワーク自体が遅いのか。あるいは別の理由で遅いのか」をユーザー
が判断できます。このように、yorozuyaは、各部門への情報提供の
手段としてかなり価値のあるものになっています。

 私たちのサポート部隊への質問メールのあて先は、sos-mailとい
う名前です。sos-mailは正式な組織名ではありませんが、物理的な
社内便もsos-mailで届きます。私たちの部署名自体は何度か変わり
ましたが、sos-mailという名称はずっと使われており、社内で定着
しています。

Y:なるほど。今日は、とくに社内ネットワークの運用の重要性を
痛感することができ、大変ためになりました。


■参考文献

 日経オープンシステム誌の連載『イントラネット構築の実際 
[注16]』(’96年6〜11月号)



[注1]  株式会社電通国際情報サービス

同社( http://www.isid.co.jp/ )では先端的な情報通信技術を駆
使して、企業の情報システムのコンサルティングから企画、設計、
開発、ハードウェア選定、運用、メンテナンスまで一貫したシステ
ム・インテグレーションのサービスを提供している。略称はISID
(Information Services International-Dentsu,LTD.)。


[注2]  友人が入賞して

’95年10月号のルート訪問記にも登場していただいた寺尾洋子さん
は、大学院生時代、この論文コンテストで入賞された。ルート訪問
記の読者も、ぜひ応募して奨学金をゲットしてほしい。


[注3]  学生・情報通信論文

同論文は、毎年9月から募集がスタートされる。今年度の応募要項
や過去の入賞論文については、ISIDのWebページを参照してほしい。
ちなみに’97年度の場合、1位入賞者の奨学金は30万円だった。


[注4]  ルーター

LANどうしを相互に接続するための装置の一種。TCP/IPを例にとる
と、LAN間接続装置の一種であるブリッジがIPアドレスを透過させ
るのに対して、ルーターはIPアドレスを見てデータ(パケット)の
ルーティング(中継経路設定)を行う。


[注5]  OpenView

OpenViewはヒューレット・パッカードが開発したトータル管理ソリュー
ションであり、ネットワーク管理ソフトとしては世界最大のシェア
を持っている。OpenViewソリューションにより、個々のユーザーの
デスクトップ・レベルから全社規模におよぶエンタープライズ・レ
ベルに至るまで、総合的な管理アプローチが実現される。詳しくは、
http://www.jpn.hp.com/CSO/openview/  を参照。


[注6]  MACアドレス

MAC(Media Access Control)とは、複数のノードが構内ケーブル
を円滑に利用するためのアクセス制御技術である。MACアドレス
(「マック・アドレス」と発音)は、ブリッジがアドレス管理を行
うために使用するもの。


[注7]  スイッチング・ハブ

イーサネット端末やATM端末の集線装置の中で、とくにスイッチン
グ機能を持つものをスイッチング・ハブと呼ぶ。これによって、デー
タ・フレーム内に格納されている「あて先端末のMACアドレス」を
読み取り、その端末が接続しているポートにだけデータを転送する
ことが可能となる。


[注8]  ネットワーク・オペレーション・センター

いわゆるマシン室のことで、頭文字をとってNOC(「ノック」と発
音)という名称で呼ばれている。ちなみにISIDでは、1階のネット
ワーク・オペレーション・センターの温度が一定以上になると、技
術部コミュニケーショングループのオフィスにある警報装置が作動
する仕組みになっている。


[注9]  Winbiff

Winbiffには、半角カナ送信時に全角カナに変換する機能が備わっ
ている。


[注10]  使ってほしくないメーラー

UNIX使いの中には、「“Content-Transfer-Encoding: 8bit”で送
られるメールは読みません」といった内容をシグニチャに書いてい
る人も存在する。


[注11]  ネットワーク技術

龍尾さんは、今後、「海外現地法人とのVPN接続」や「ネットワー
クのトラフィック監視の強化」を実現したいと思っているようだ。


[注12]  希望のメール・アドレス

本名をアルファベットで記述したり、社員番号を使う方法もあった
が、「フル・ネームは書くのが面倒」、「社員番号は数字なので間
違えやすい」ことから採用を見合わせたとのこと。なお、社員番号
を使う場合は、名前のアルファベットを組み合わせたり、チェック・
デジットを付けるなどして、(数字を1つ間違えるなどの)入力ミ
スで他人にメールが届いてしまわない工夫が必要である。


[注13]  メール・アドレスは削除され

たとえば、一定期間、.forwardファイルを使ってメールを社外に飛
ばすような運用を許可した場合、業務上のメールが社外に流出する
危険性が高い。このため、退職日のメール・アドレス削除を徹底し
ている。


[注14]  SPAMメール

同一のメッセージが大量に特定の電子メール・アドレスへ送信され
ること。また、広告目的で不特定の相手に対して大量に発信される
メールもSPAMメールと呼ばれる。発信側の悪意の有無はともかく、
いずれも受信側のユーザーとしては迷惑であり、ネチケットに反す
る行為といえる。


[注15]  MRTG

Multi Router Traffic Grapherの略。監視対象のルーターに対して
SNMP(Simple Network Management Protocol)でポーリングし、ト
ラフィックの推移をWebページとして生成するフリー・ソフトウェ
ア。ほとんどのUNIXとWindows NTで動作し、Perlを使用しているた
めにカスタマイズが容易である。また、GNU General Public
Licenseに基づいて配布されている。詳しくは、ユニックス マガジ
ン誌(’97年12月号)の「倉敷芸術科学大学のネットワーク構築〜
MRTG〜」を参照してほしい。


[注16]  イントラネット構築の実際

同連載では、ISIDの全社ネットワーク・システムの構築について、
実際に担当したISIDの社員が毎回詳しく解説している。今回の記事
でISIDのイントラネット運用に興味を持った方は、ぜひ読んでいた
だきたい。なお、今回の取材はISIDの熊谷誠治さんのアレンジによっ
て実現しており、非常に感謝している。ちなみに、熊谷さんは「だ
れも教えてくれなかったインターネットのしくみ」(日経BP社)の
著者である。



以上


(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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