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第30回 インターネットは伝統産業を情報化するキーワード



1997年7月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第30回 インターネットは伝統産業を情報化するキーワード

今回は、和歌山県産業情報センター [注1] の主査である古江伸二
(ふるえ しんじ)さんを訪ね、提供しているサービス内容や同セ
ンターのある(株)和歌山リサーチラボ [注2] についてお聞きし
ました。また、同センター所長の松田捷穂(まつだ としほ)さん、
システム管理担当の平山義明(ひらやま よしあき)さんにも、お
話に加わっていただきました。


*情報化相談窓口のキーワードはインターネット

私(以下Y):はじめまして。海南インテリジェントパークという
場所については、以前から興味を持っていました。このパーク内の
建物の1つ、和歌山リサーチラボの2階にあるのが、和歌山県産業
情報センターなんですね。まずは、和歌山リサーチラボとの関係に
ついて、教えていただけますか。

松田さん(以下M):和歌山県産業情報センターは県立の施設で、
その運営管理は和歌山県中小企業振興公社の和歌山県産業情報セン
ターという機関が任されています。このような情報センターは、和
歌山県以外の都道府県 [注3] にも置かれています。

 一方、和歌山リサーチラボは、地方における最新情報と機材環境
の提供を目的とした第三セクター(株式会社)です。同社のビルは’
96年5月に完成し、最新設備のそろった1階のメディアラボ(コラ
ム参照)および特定業種 [注4] に該当する企業にスペースを提供
する2〜5階のレンタルラボで構成されています。メディアラボの
PC・CAD研修室では、PCを使った研修が実施されており、レンタル
ラボのフロアには和歌山県産業情報センターをはじめとして、各企
業がオフィスを構えています。

 ですので、和歌山リサーチラボが大家とすれば、和歌山県産業情
報センターは店子の1つに相当するわけです。

古江さん(以下F):和歌山リサーチラボ内には、富士通和歌山シ
ステムエンジニアリングの本社も’97年4月に移転しており、近い
将来、和歌山のネットワークの中枢といえる場所になっていくこと
でしょう。「人と人が出会うことによって、よりよいものが生まれ
ていく」ということは、どんなにネットワークが発達したとしても
変わらないはずです。その意味でも、技術を持つものが同じ場所に
集まることには意義があると考えています。

 県内の企業 [注5] は、大手はもちろん、中小でも海外に生産拠
点を持つところが多いのです。通信手段としてFAXや電話を用いる
と費用がかさむということで、インターネットに注目する企業が増
えています。また、和歌山県は非常に南北に広く(その距離は東京
−静岡間と同じぐらい)、地域による情報格差をなくす手段として
も、インターネットを活用したい企業は非常に多いと思います。

 そこで和歌山県産業情報センターでは、インターネットを中心と
する企業の情報化を支援しています。情報収集・加工・提供サービ
スはその1つであり、データベース検索や資料提供などを中心とし
たサポート、インターネット体験、ホームページ掲載、情報化相談
をしています。ただ原則として、必ず一度は来ていただき、施設を
見学して実際にインターネットを利用してもらってから、お話を伺
うようになっています。

 また、「インターネットとはどういうものか」、「どのような機
能を持っているか」、「ビジネスにはどう結びつけていけるか」と
いったさまざまな実験を行ってみたいと思っている県内の企業に、
無料でホームページを掲載させるサービスを提供しています。しか
し、プロバイダ業務は行っていません。すでに県内には多くのプロ
バイダが存在 [注6] しますので、これらを活性化させたいという
理由もあるからです。

Y:1日平均、何人ぐらい相談に来られるのでしょうか。

M:’96年7月1日から’97年3月末までの来場者数が2700人で、
1か月平均300人となります。これは来所された人数だけですが、
そのほかにも電話やFAX、それに電子メールなどでも相談が寄せら
れています。もちろん、団体で見学に来てさっとデモを見て帰られ
る場合もありますが、今年になってからはじっくり(半日程度)時
間をかけて、インターネットについて質問されたり、自社のインター
ネットの導入について相談される方が増えてきました。何度も足を
運ぶ方もいらっしゃいます。

F:現在はインターネット体験コーナーが用意されているだけです
が、今後はホームページ制作工房のようなスペースも用意して、こ
こでホームページが作成できるような環境も提供していきたいと思っ
ています。


*512Kbpsで外部と接続するネットワーク環境

Y:では、ここのネットワーク環境について説明していただけます
か。

F:外部(Spin [注8] 大阪)とは、512KbpsのOMP(大阪メディア
ポート)の光ファイバで接続しています。Spin大阪に直接つないで
いるので速いですよ。それ以外に、モデム経由でPPP接続する線も
用意しており、システム管理者が休みの日に自宅から利用したり、
出張先から利用したりするときに使っています。

Y:’96年7月に和歌山県産業情報センターという施設がオープン
する以前は、どのようなネットワーク環境だったのでしょうか。

平山さん(以下H):Webサーバーは、’96年3月から稼働させて
いました。当時の構成としては、サン・マイクロシステムズのWSが
1台とWindows 95のマシン1台だけで、外部との接続は192Kbpsで
した。また、私が和歌山県産業情報センターのシステム管理を担当
したのは、’96年4月からです。

 そして、’96年7月に和歌山県産業情報センターという施設がリ
サーチラボ内にオープンしたわけですが、このときは光ケーブルの
工事が間に合わず128Kbpsの回線を使用していました。ネットワー
クの構成は、現在とほぼ同じです。その後、同年11月には128Kbps
から256Kbpsに、さらに’97年4月には512Kbpsに増強されました。

F:WSを導入する際には、フリー・ソフトウェアのインストールの
容易さを考えて、3台ともサン・マイクロシステムズのものにそろ
え、その後、動画を扱うためにシリコングラフィックスのIndyを加
えました。このほか、さまざまなメーカー(種類)のPCを用意して
いますが、これは各企業さんの多様な相談を受けるためにそろえて
います。


*個性の出やすいUNIX

Y:システム管理は、平山さんが担当されているそうですね。

H:はい。和歌山県産業情報センターのシステム管理を始めて約1
年になります [注9]。主な仕事はシステム管理とWebマスターをやっ
ています。仕事の割合からすると、3対7くらいですね。それまで
は汎用機でのシステム開発をやっていまして、UNIX歴は2年足らず
です。

Y:UNIXの世界は、PCや汎用機の世界に比べてどうですか。

H:2年(UNIX歴)のうち最初の1年は、派遣先の業務が終了して
会社に戻ってからとか、休日に自宅から会社にtelnetしたりとか、
暇を見つけての勉強でした。途中、マイクロソフトのMCP
(Microsoft Certified Professional)資格を取るために中断する
など、なかなか時間がとれない状態でした。

 そうしているうちに和歌山県産業情報センターにくることが決定
し、それからは毎日がUNIXとの格闘でした。UNIXを使い始めてまず
驚いたのは、その世界の広さですね。あまりに広いため、独学では
何から勉強してよいのか分からないほどでした。基本的なコマンド
やエディタはよいのですが、ネットワーク関連はそうもいかず、分
厚い専門書と格闘するしかありません。

 また、UNIXの場合、ユーザーによって個性が出るのが面白いです
ね。たまに人が操作しているのを見ていて、目からウロコが落ちる
ことがあります。

 ところで、和歌山県産業情報センターのホームページでは、和歌
山県内の企業検索エンジンを稼働 [注10] させており、企業名やキー
ワード、業種、地域によって県内企業のホームページを検索できる
ようになっています。登録の方も、Web上で随時受け付けています。
検索には日立製作所のGroupInfoshare [注11] を使用し、CGIプロ
グラムによってデータベースを検索します。これはHTML形式のテン
プレート・ファイルによって、GUIのカスタマイズが可能なので大
変便利なんです。

 いままでは、全体的にテキストだけのホームページが中心でした
が、今後はShockwave、VRML、Javaなどに対応させたコンテンツを
どんどん掲載していきたいですね。ちなみに、現在は「和歌山観光
音頭」をRealAudioで流しています。全部聞いたら、もう和歌山通
になりますよ。


*和歌山大学での修行が技術相談に役立つ

Y:古江さんは以前、和歌山大学でネットワークについて勉強され
た時期があるそうですね。

F:はい。’93年7月から約3か月間、和歌山県の情報システム課
の多田さん [注12]、和歌山工業技術センターの井口さん [注13]、
私の3人が、和歌山大学のネットワークに詳しい3人の先生 [注14]
の研究室で勉強させていただきました。

 当時は、いわゆる(Webによる)インターネット・ブームがくる
前でしたから、「リモート・ログイン、ファイル転送などによって、
ほかの地域にある計算機の資源を利用できるのがインターネット」
ということが、とても分かりやすい時代でした。これが、パソコン
通信にはないインターネット独特の魅力なのですが、Webが使える
ようになってからインターネットの世界に入ってきた人たちは、ど
うもこの部分が理解しにくいのではないかと思います。

 このような理由もあって、’93年の時点でインターネット、すな
わちTCP/IPによるネットワークを基礎から学び、「インターネット
というインフラを、県の産業にどう活用していくか」について考え
始められたことは大変幸運でした。全体像を理解せずにWebからイ
ンターネットに入った人の問題点は、モデムあるいはISDNによって
PPP接続してWebだけを利用し、「遅いからインターネットは使い物
にならない」と終わりにしてしまうことです。PPP接続で電子メー
ルやネット・ニュースを使用する際には、オンラインとオフライン
を使い分けて読み書きするなどの工夫をすれば問題ないはずなので
すが。

Y:そうですよね。ちょっとした工夫 [注15] でモデムによるPPP
環境でも快適に使えますよ。でも、ここのように512KbpsでSpinに
接続し、速いスピードでホームページが見られたり、FTPできたり
するのはうらやましい限りです。

F:確かに、最高の環境を提供していると思います。自分の学校よ
りもよい環境だからと、ここのインターネット体験コーナーにきて
いる学生さんもいるほどです。相談にこられた方には、この速度を
体験してもらうようにしています。そして、モデムなどを利用した
場合の速度のことを説明して理解していただきます。ただ、説明で
はなかなか分かってもらえないことの1つに、「自分の家や会社を
ISDNにして、モデムの数倍のスピードでプロバイダに接続しても、
そのプロバイダの先の線が細ければ、それほど速度の改善にはなら
ない」ということがあります。

 IIJやSpinなどの1次プロバイダに専用線で接続している場合は、
512Kbpsなら512Kbpsの速度が常に保証されているわけですが、それ
以外の場合、たとえば2次プロバイダにPPP接続しているような場
合は利用者が多い時間帯だと、いくら自分とプロバイダとの間の線
が太くなっても速度は保証されません。これが、なかなか分かって
もらえない点です。

Y:本誌を読んでいるような方だと大丈夫だと思いますが、せっか
くISDNに変えたのにそれほど速度が改善されなかったら「だまされ
た!」と思う人も多いでしょうね。NTTの宣伝を読んだり見たりし
ている限り、28.8Kbpsという速さが128Kbpsになるなら確実に4.5倍
速くなると思いますから。

F:和歌山県産業情報センターでの技術相談では、そのあたりのこ
とも含めて理解してもらうように心がけています。ここは公的な機
関ですから、商売に関係なく説明ができるという利点があります。

 NTTがサービスを開始したOCN [注16] に関する相談も多いのです
が、最低通信速度が保証されないという点を知っておく必要があり
ます。これは決してOCNの欠点ではなく、もともとOCNの特徴が、
「従来の専用線サービスの最低通信速度の保証を行わない代わりに
安価で提供する」というものだからです。このようなサービスでも、
電子メールやtelnetなどで使う分には速度的な問題はありませんし、
専用線として常時使用できるということは、いままでPPP接続をし
ていた人にとって非常に快適な環境が提供されることになります。
しかし一方で、前述したWebからインターネットに入った人からは、
「遅いからダメだ」と評価されてしまう危険性もあります。

Y:「インターネット、インターネットって騒いでるけど、結局は
UNIXのTCP/IPネットワークのことでしょ」とクールに思っている私
たちには、「イントラネットだ」、「エクストラネット [注17] だ」
という世の中の騒ぎに少ししらけてしまうところがあります。イン
トラネットもエクストラネットも、Webブラウザで見られる画面で
アプリケーションが動いていることが新しいだけですよね。

F:そのとおりです。「インターネットはセキュリティに問題があ
るからダメだ」とか「インターネットはコンテンツの程度が低いか
らダメだ」などと批判されています。しかし、それはもともとUNIX
ネットワークがセキュリティに関係なく発展してきたためで、セキュ
リティが必要になったいま、きちんと考えていけばよいことではな
いでしょうか。これまで考えられていなかったことを、「ダメだ」
という一言で結論付けるべきではないと思います。


*IPアドレス不足が解消したら・・・

F:ところで、私と同時期に和歌山大学で勉強していた、和歌山工
業技術センターの井口さんがTCP/IPの入門書 [注18] を書かれたの
ですが、その中でIPv4とは別に章を設けてIPv6 [注19] を説明され
ていますので、その話でもしましょうか。

 現在のIPアドレスはIPv4という32ビットのアドレスになってます
が、これでは足りないといわれているのは、みなさんご存じのとお
りです。そこで、IPv6という128ビットのアドレスにすると、約3.4
×1038個、理論的には地球表面積の1平方メートル当たり6.65×
1023個、階層化などにより実際は少なくなりますが、かなり悲観的
に見積もっても1564個のアドレス [注20] があるといわれています。

現在、日本ではJPNIC [注21] がIPアドレスの割り当てを担当して
いますが、IPアドレスが足りないから大変なわけで、IPv6になれば
自動割り当てもできるようになるでしょう。テレビを買ったら製造
番号が付いているのと同じような感覚で、IPアドレスが自動的に割
り当てられるようになれば便利ですね。

 最近では、「プロバイダにPPP接続しようと思ってパソコンを購
入したけど、どうしてもうまく設定できなくてインターネットが利
用できない」という人が多発していますが、一番の原因は何だと思
いますか。

Y:インターネット搭載パソコンなどという甘いキャッチフレーズ
で、本当に買った瞬間に接続できるような雰囲気でパソコン売って
いることでしょうか。

F:確かにそれもありますが、もっと根本的な原因というのが「IP
アドレスの数に限りがあるから」なんです。同じ住所がいろんなと
ころに存在してはいけないのと同じで、限りあるIPアドレスを1つ
しか存在させられないから、「PPP接続しているときだけIPアドレ
スを渡して……」というような複雑な運用をしなければならないの
です。もし、IPアドレスが自動割り当てされるほどあれば、すべて
のマシンに1つとか、すべての人間に1つというように、プラグ・
アンド・プレイでインターネットが利用できるでしょう。

Y:それは、期待大ですね。井口さんがお書きになった書籍のIPv6
の章をしっかり読ませていただき、本当に「スイッチ・ポンでイン
ターネットにつながる」時代がくるのを楽しみに待ちたいと思いま
す。今日は、楽しいお話をありがとうございました。



[注1]  和歌山県産業情報センター

(財)和歌山県中小企業振興公社内の1つの機関名。’81年7月1
日の同機関設立時は、和歌山県中小企業情報センターという名称で
あったが、’97年4月1日に施設と同名の和歌山県産業情報センター
に変更した。同施設のホームページは、http://www.wakkun.or.jp/。


[注2]  (株)和歌山リサーチラボ

いわゆる頭脳立地法(正式名称は、地域産業の高度化に寄与する特
定事業の集積の促進に関する法律 -昭和63年法律第32号)に基づき
設立された第三セクター。地域産業の高度化・高付加価値化を支援
促進するとともに、海南インテリジェントパークに進出する企業の
活動を支援している。


[注3]  和歌山県以外の都道府県

◯◯産業情報センターなどの名称で、都道府県にほぼ1つずつ置か
れている機関(ただし、愛知県の場合、愛知県と名古屋との2つが
存在する)。48ある情報センターのうち、ホームページを持つ30の
センターへのリンクが、http://www.wakkun.or.jp/hp-info2.htm
で提供されている。


[注4]  特定事業

この事業の中には、ソフトウェア業、情報提供サービス業、情報処
理サービス業、デザイン業、ディスプレイ業、業務用機械器具賃貸
業、産業用機械器具賃貸業、経営コンサルタント業、エンジニアリ
ング業、機械設計業、産業用設備洗浄業、機械修理業、非破壊検査
業、総合リース業、広告代理業、自然科学研究所が含まれる。


[注5]  県内の企業

和歌山の大手企業としては、総合メカトロニクス・メーカーの島精
機、写真現像機ミニラボ(QSS)のノーリツ鋼機などがある。また、
和歌山リサーチラボのある海南地方の主な地場産業は、家庭日用品
の製造販売と紀州漆器(黒江塗)である。


[注6]  多くのプロバイダが存在

’97年4月現在、和歌山県産業情報センターで確認しているプロバ
イダは、いんたーねっと和歌山、サイプレス、スペースインターネッ
ト、リフレインインターネットサービス、aikis、INTERLINE、
InterNET-VAW、NNC-NET、NAXnet、TCネット、WCSNETの11社である。
この中で、和歌山リサーチラボ内のレンタルラボにあるのが、サイ
プレスである。同社は、和歌山県全域(市外局番が、0734、0735、
0736、0739)にアクセス・ポイントを持つプロバイダで、Spin大阪
に直接つないでいることや、INS64のバルク・モード [注7] に対応し
ているなどの特徴がある。詳細は、http://www.cypress.ne.jp/ を
参照。


[注7]  INS64のバルク・モード

64KbpsのBチャンネルを2本束ねて、128Kbpsとして使用する方式。
この機能を持つTAは増えているが、対応しているプロバイダは、
’97年4月現在、まだ少ない。


[注8]  Spin

IIJと並ぶ、日本の大手商用プロバイダ。’92年末に、日本では初
めて商用インターネットを開始した老舗的な存在。


[注9]  約1年になります

平山さんは、トランス・コスモス(株)の社員。自宅は、X68000を
使用し、『Oh! MZ』、『Oh! X』が部屋に山積みされているらしい。


[注10]  和歌山県内の企業検索エンジンを稼働

登録は、和歌山県内に本社や支店などがある企業、団体が対象となっ
ている。


[注11]  GroupInfoshare

日立製作所の文書情報管理システム。Group Infoshare/Gateway
(CGIプログラム)との連携でWeb上からデータベースの検索が可能。
また、Bibliothecca/TSとの連携では全文検索も可能となる。


[注12]  情報システム課の多田さん

和歌山県庁企画部情報システム課の多田和夫さん。情報システム課
からは、和歌山県情報館(http://www.pref.wakayama.lg.jp/)が提供さ
れている。


[注13]   工業技術センターの井口さん

’96年8月号のルート訪問先が、和歌山県工業技術センターの井口
信和さんであった。和歌山県工業技術センターは、地域中小企業の
技術力向上のための総合的な実験、研究、技術指導、技術相談、技
術者研修を実施している公設試験研究機関。ホームページは、
http://www.wakayama-kg.go.jp/index.html である。


[注14]  3人の先生

和歌山大学システム工学部の内尾文隆先生、床井浩平先生、渡辺健
次先生。’96年8月号にも3人のお名前を掲載したが、「床井浩平
先生」のお名前を間違って「床井浩平助先生」と書いてしてしまっ
た。ここにお詫びとともに訂正させていただきたい。


[注15]  ちょっとした工夫

これには、「Lynxのようなキャラクタ・インタフェースのWebブラ
ウザを使用」したり、「Netscape Navigatorを、画像を取り込まな
い設定にして使用」することがあげられる。


[注16]  OCN

Open Computer Networkの略。NTTの新しいデータ通信用の回線サー
ビス。ダイヤル・アクセス接続、エコノミー接続(常時接続)の2
種類がある。後者を利用することで、従来の専用線と比べて安価な
料金で常時インターネットを利用することが可能。詳しくは、
http://www.ocn.ne.jp/ を参照。


[注17]  エクストラネット

特定の企業内におけるインターネットの利用形態の1つ。イントラ
ネットとの違いは、ファイアウォールの外側で利用するところ。た
とえば、営業などの情報を提供する企業と、それにアクセスする会
員企業で構成される。このとき、非会員のアクセスは、パスワード
などのユーザー認証技術やデータの暗号化などによって防止する。


[注18]  TCP/IPの入門書

タイトルは、『絵ときイントラネットTCP/IPバイブル』(オーム社)
である。IPv4やIPv6のことが詳しく説明されている以外に、RTP、
RSVPについても説明されている。ちなみに、RTP(Real-time
Transfer Protocol)は、リアルタイム性を要求する通信(ビデオ
会議など)で使用するプロトコル、RSVP(Resource reSerVation
Protocol)は、帯域予約のためのプロトコルである。


[注19]  IPv6

IP version 6の略。「アイピーブイロク」と発音する。インターネッ
トの発展に伴って深刻となってきたIPv4の問題点の解決(アドレス
空間の拡大、アプリケーションの要求の効率化)のために、現在開
発されつつある次世代インターネット・プロトコル。


[注20]  1564個のアドレス

詳しくは、IP Next Generation Overview
(http://playground.sun.com/pub/ipng/html/INET-IPng-Paper.html)
を参照。


[注21]  JPNIC

JaPan Network Information Centerの略。ジェーピーニックと読む。
コンピュータ・ネットワークの円滑な発展に必要となる登録管理、
および情報提供を行うために’91年12月に設立された組織。JPドメ
イン名の交付とIPアドレスの交付を主な業務としている。


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コラム 和歌山リサーチラボの最新設備

 和歌山リサーチラボの意義と、提供している機材環境について、
和歌山リサーチラボに常駐されている島精機製作所の吉川真弘さん
にまとめていただきました。

 和歌山リサーチラボの主なターゲットは、中小企業です。景気の
上昇が進まない中で、いずれの中小企業も「変わらなきゃ」と感じ
てはいるのですが、何をどう変えればよいのか分からないケースが
ほとんどです。さらに「インターネットって何?」という人も、ま
だまだ多いようです。

 そこで、和歌山リサーチラボでは従来の仕事の進め方を、コンピュー
タの力を借りることで、どう変えることができるかを体験できるよ
うになっています。

 メディアラボは、情報システム・ゾーンとCGデザイン・ゾーンに
分かれています。前者はPC・CAD研修室などがあり、最新設備とし
ては研修室内のPCやPC・EWSに直結した大型プロジェクタ、CGに直
結した大型プロジェクタがあります。また後者は、デザイン・ワー
クにおけるコンピュータ活用方法と最新の作業機器を提供していま
す。

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(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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