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第3回 文学の畑にもUNIXの花が咲く




1995年4月号の UNIX USER 誌に掲載された「ルート訪問記」の過去記事

第3回 文学の畑にもUNIXの花が咲く

今回訪問したノートルダム女子大学(京都市)は、文学部(英語英
文学科と生活文化学科から構成)だけの小規模な大学です。'91年
に、この大学に UNIX ワークステーションを中心としたコンピュー
タで構成されるコンピュータ・センターがオープンし、現在('95年
初頭)、インターネット利用者の間で人気の高い WWWサーバー [注
1] を提供する、立派な UNIX サイトに成長しています。

 今回、私が訪ねたグレゴリー・ピーターソン(Gregory L. Peterson)
氏(英語英文学科 助教授)は、このコンピュータ・センター設立
の中心となられた方であると同時に、この大学を卒業した私のゼミ
(卒論指導)の先生の一人でもあります。


*UNIXネットワークの知識はオライリーの専門書から

私(以下、Y):こんにちは。今日は、この大学のコンピュータ・
センターや、ピーターソン・ゼミの学生へのコンピュータ教育につ
いて、それから、これからルートになる人にとってためになるよう
な話を聞きにやって来ました。

 英語教育を専門とされている先生が、これだけのシステム構築の
リーダーとなられたということで、「ルートへの道」は、険しかっ
たと思います。

ピーターソンさん(以下、P):はい。忘れてしまいたいくらいで
す。:-) 一番大変だったのは、ここにはUNIXに詳しい先輩が一人
もいなかったことです。京都大学の大型計算機センターの知り合い
の方に教えてもらう機会はあったのですが、ぼくの場合は言葉の問
題もあって、最初のころは説明がまったく理解できませんでした。
日常の日本語には自信がありましたが、ネットワーク関係の専門用
語には、DNS [注2] のような acronym(頭文字略語)が多いでしょ
う。それらが日本語の説明の中に交じると、とたんに分からなくな
りましたね。

 結局、必要な情報は、オライリー(O'Reilly & Associates,Inc.)
が発行している専門書、たとえば、「DNS and BIND」、「TCP/IP
Network Administration」「Managing NFS and NIS」などの原書と、
USENET [注3] の記事から、英語で手に入れました。


*名ルートの影に名助手あり

Y:ところで、ピーターソン先生は1977年から日本に住んでおられ
て、奥さんも日本の方ですよね。コンピュータに興味を持たれたの
はいつごろですか?

P:アメリカでの大学時代に、「BASIC Programming」というコン
ピュータ関係の授業を取ったことがありました。tty の語源となっ
たテレタイプを使っていた時代です。そのときは、とくに興味を持っ
たわけではなかったですね。

 その後、83年ごろだったと思いますが、「英語教育の教材が作れ
るかな」と思って、NEC のパソコン(PC-9801F)を買いました。そ
れから、Dave という友達と、モデムを介した通信を楽しみながら、
「ネットワークを介した教育(tele-college)の可能性」について
考えるようになり、教育者としてコンピュータの世界に強く興味を
持ち始めたのです。

Y:なるほど。それが、この大学にコンピュータセンターを作ると
いう大きな計画へと進んでいくわけですね。たしか、センターがオー
プンしたのは、91年の11月でしたね。

P:はい。その準備のために卒業生の石川千鶴(いしかわちづる)
さんが、91年1月から来てくれました。彼女のコンピュータ歴もほ
とんど僕と同じで、PC-9801E を最初に買ったそうです。石川さん
にも会話に加わってもらいましょう。

石川さん(以下、I):私はずっと98(PC-9801)信者でしたので、
大学に戻ってきてから UNIX を勉強し始めました。最初は、ユーザー
としてマニュアル片手に始め、Mr.ピーターソンに助けられてなん
とかここまできたという感じです。

Y:センター設立時に苦労はありませんでしたか?

I:いまでもそうですが、ほんとうに毎日苦労だらけです。:-) 

とくに無から新しいものを作るということは、エネルギーがいりま
すし、周りの理解と協力が不可欠です。いま思うと、センター設立
前は、巻尺片手にコンピュータの配置を考えたり、備品を選んだり
大変でしたが、なかなか楽しい作業でした。配置や備品の色が自分
の思うようになって完成したときはとても嬉しかったですね。

 当初はよく、フリー・アクセスの床 [注4] を開けて、 Mr.ピー
ターソンともぐったものです(正確にはのぞき込むってとこですけ
ど)。この作業は、管理者にはつきものですね。いまでもしばしば
もぐっています。2人で「マーフィーの法則」といっているのです
が、「きれいな格好をしているときにかぎって、床をもぐるような
トラブルが起こる」 :-(

P:彼女は、機械のメンテももちろんですが、コンピュータ・セン
ター運営の全般を1人でやってくれています。また、
http://www.notredame.ac.jp/ のwebmasterとして、WWWサーバーの
運営には欠かせない人です。

Y:ノートルダムの WWW は、私の友人の間でも、デザインが凝っ
ていて美しいと好評ですよ。

I:ありがとうございます。けっこううちのサーバーは古いんです
よ。93年の秋から試験運用していますから、もう1年半くらいにな
ります。私もMr.ピーターソンも、自分で納得のいくものができる
までは公開しないつもりだったのですが、悩むばかりでは進まない
し、公開していなくても来客者がけっこういたので、区切りのよい
94年9月1日に思い切って公開しました。

 季節によってホーム・ページのイメージを替えたりしていて、そ
ういったちょっとした心遣いが他のサイトにはない「やさしさ」や
「あたたかさ」として、誰かが「女性色」といってましたけど、み
なさんの目を引いたようですね。


*便利に使えるよう常にシステムを拡張

Y: 学内のコンピュータの種類とネットワーク構成について、概
略を教えてください。

I:はい、主に 10BASE2 [注5] で LAN を形成しています。昨年
はモデムでの使用を快適にするため、Ciscoのコミュニケーション・
サーバー [注6] をつなぎました。毎年少しずつ接続される機器が
増えています。

 コンピュータの置かれている主な部屋は、研究室、実習室、LL教
室、AVセンターの4つです。ワークステーションとX端末、パソコ
ンや Macintosh などを、用途に応じてこれらの部屋に配置してい
て、すべてのマシンから研究室のサーバーが利用できるようになっ
ています。

Y:Macintosh からも、telnet [注7] でワークステーションを使っ
たり、Mosaic [注8] を使ったりできるそうですね。

P:はい。すべての Macintosh に、NCSA telnet と NCSA Mosaic
for Macintosh をインストールしてあります。実習室のパソコンに
も仮想端末ソフトをインストールしてありますから、telnet がで
きます。

Y:外部との接続はどうなっていますか?

I:京都大学大型計算機センターと92年7月から UUCP [注9] 接
続をはじめ、93年8月に、NTTの高速デジタル専用回線(64Kbps)
を使用する IP [注10] 接続に切り替えました。今年はこの線をもっ
と太くする予定です。

Y:ピーターソン・ゼミの学生だけではなく、一般の学生も授業で
このシステムを使うわけですね。

P:はい。ぼくのゼミの学生と、「情報処理」のクラスを選択して
いる学生が使います。ゼミの授業は研究室でワークステーションを
使用して、電子メール、ネット・ニュース [注11]、WWW、LaTeX
[注12] などをやっています。

I:教育の現状を簡単に説明しておきますね。実習室を使用して行っ
ているのは、今年の1回生(約300名)から必須になった「ワープ
ロ基礎技術」という講座です。タッチ・タイピングを含め「一太郎」
中心にやっており、終了するとワープロ検定3級程度の技術がつき
ます。

 その他、前述の「情報処理」という選択科目があり、今年は260
名が選択していますが、ここでは主にPascalや電子メールなどをやっ
ています。あとは、教職過程の必須科目「教育の方法と技術」では、
BASICなどをやっています。

 授業以外の空き時間には、実習室は自由に学生が出入りできるよ
うになっています。ですから、自分のペースに合わせて、タイピン
グやワープロ、プログラミング、電子メールやネット・ニュースを
読んだりとさまざまです。トラブルがあったときには私が対処して
います。

Y:UNIX のアカウント [注13] を持っている学生の数はどれくら
いですか?

I:現在、384名です。アカウントは、3〜4回生のゼミ生の一部、
1〜2回生の「情報処理」受講者、その他の学生および教職員が持っ
ています。全学生の約3分の1ぐらいですね。今後は、飛躍的に増
えると思います。


*語学の勉強に適した電子テキスト図書館を独自の開発で構築

Y:センターのカタログで紹介されている POETS(ポエッツ)とい
うサービスについて教えてください。

I:POETS(Personalized Online Electronic Text Services)と
いうのは、本学独自のプロジェクトの名前なんです。平成5年度か
ら2年間、私学振興財団の補助金を受けて研究を行ってきました。

プロジェクト・チーム・メンバーは、英語英文学科の服部昭朗、新
井康友、Mr.ピーターソンと私の4人です。インターネットを利用
したリーディング環境の構築が目的で、文学部の学生が効率よく利
用できるリーディング・インタフェースを提供し、英語の教育や異
文化交流を図ろうというわけです。

 そのために構築しているのが、WWWサーバーで紹介している電子
テキスト図書館です。ここで提供しているインタフェースは、たと
えば、ある単語の含まれるテキストを検索するとか、ある単語の意
味を電子辞書で調べることができるようになっています。また、
VOA [注14] のニュースなどは、24時間のアップデートで最新のも
のが読めるようになっています。これはMr.ピーターソンのご尽力
のたまものです。


*ユーザーとして使うかぎりワークステーションは難しくない!

Y:文学部の学生がUNIXワークステーションを使いこなすのは難し
くありませんか?

P:ユーザーとして使うかぎり、ワークステーションが、パソコン
よりも難しいということはありません。ワークステーションが難し
いのは、ルートの仕事にからむ部分だけです。これは、パソコンよ
り格段に難しい。

Y:以前から、このサイトはユーザーが使いやすい環境を提供して
いると思います。たとえば、新しいログイン名をもらった時点で、
この環境に最適な各種設定ファイル [注15] が、コピーされるよう
になっているでしょう。

P:新しいログイン名は、シェル・スクリプト [注16] を実行する
ことで作れるようになっており、そのときに、
/home/export/MODELS/general の下に準備されている標準の各種設
定ファイルを、各自のホーム・ディレクトリにコピーするようにし
ています。環境設定までは、ルートの当然の義務ですよ。マニアだ
けが使っていた時代とは違いますから。

 実は、いろいろな環境からのログインに対応する設定ファイルを
書くのはなかなか大変でした。白黒のモニターを使う場合もあるし、
telnetでログインする場合は、

 @Macintoshから
 A富士通のパソコンから
 B自宅のコンピュータから電話回線で
 Cパソコン通信から
 DUNIXワークステーションから
 EX端末から

のように、いろいろなパターンがあります。これらすべてに対応す
るように書かれた .login ファイルは、数年間の実験(試行錯誤)
の成果です。:-)

Y:標準の .cshrc ファイルの設定を見ると、ファイルを削除する
rm コマンドが alias(エイリアス) [注17] 機能を使って「rm -i」 
[注18] になっていたり、すでに存在するファイルへの上書きを禁
じるために noclobber [注19] がセットされていたり……。

P:ユーザーが、ちょっとミスをしてしまっても、それが重大なミ
スになってしまわないための工夫です。

Y:そんな温かいルートさんに守られたここのユーザーは幸せです
よ。:-)



*安全で、便利で、自分の仕事が多すぎないシステムを作ること

Y:数年間、ルートとして仕事をしたノウハウのようなものを教え
てもらえますか?

P:ルートの仕事をしてきて気が付いたことの1つに、「ユーザー
ごとのファイルはすべて、各ユーザーのホーム・ディレクトリの下
に置くようにすると便利」ということがあります。たとえば、Wnn
 [注20] では、各ユーザーごとに頻度ファイルと単語登録ファイル
が、デフォルトでは /usr/local/lib の下 [注21] にできます。こ
れでは、卒業した学生のファイルを消し忘れてしまう場合がありま
す。各ユーザーのファイルは、すべてホーム・ディレクトリの下に
置くように設定を変更しておくべきですね。

 それから、「ルートは、そのサイトの全体像を分かっておくと同
時に、UNIXについて知り尽くしておくべきだ」ということですね。
ぼくは、自分のパソコンに Linux(その前は386bsd) [注22] をイ
ンストールして、何度もシステムを壊しながら、UNIX を学びまし
た。

 レース・ドライバーが、一度はスピンさせないと自分の車がカー
ブでどこまでいけるかが分からないのと同じで、UNIX も壊してみ
ないと、本当の姿は分からないと思います。仕事で使っているマシ
ンは壊すわけにはいきませんから、自分のパソコンでやるわけです。
もし、ぼくが会社のマネージャ(管理職)なら、ルートには、
Linux か FreeBSD と、30万〜50万円のパソコンを買い与えて、
「これで UNIX を勉強しろ」といいますね。

Y:いまの時代、仕事場には、自分が好きなようにできる UNIX な
ど、ころがっていませんものね。すべてネットワークに接続されて
いて。

P:それから、ルートは、システム管理用のログイン名を作ってお
くと、テストをする場合などに便利ですよ。

 ルートが考えなければいけないのは、ユーザーのプライバシーを
守ることができる安全なシステムを作ることと、ユーザーが使いや
すい便利なシステムを作ることです。それから、ルートの仕事量が
多くなりすぎないような工夫も大切ですね。ルートは、別に本職を
持っていることが多いでしょうから、限られた時間で管理ができる
ことが好ましいわけです。私の場合も、本職は教育者ですから。

I:そうでしたね。忘れてました。^^;)

Y:ご自宅からつないで仕事される場合もあるのですね。

P:もちろん。電話代の請求書を見るのが恐いときがあります。と
くに、ぼくの家は滋賀県ですから。

I:そういった意味では、管理者はなるべく近くに住む方がよいか
もしれませんね。近くだとトラブルが起こってもすぐ駆けつけられ
ますし……。「専用線でつないだら?」なんて笑いながら話すこと
がよくあります。私も家からつないで仕事をしますが、夜中の1時
とか2時とかにログインして、Mr.ピータソンもログインしている
のを見つけると、仲間がいるって感じでほっとしますね。よい仕事
をするには機械環境も大切ですけど、より大切なのは「自分のやっ
ていることを理解してくれる人がそばにいる」ということから生ま
れる仲間意識と、安心感などの目に見えない方の環境、要するに、
人間関係ですからね。


*情報化時代の文系コンピュータ教育が目指すものとは

Y:最後になってしまいましたが、ピーターソン先生が、ゼミの学
生(文学部のコミュニケーション専攻)に、コンピュータを勉強さ
せる目的、あるいはその目標を教えていただけますか。

P:学生に、critical sense を養わせることがメインですね。

Y:critical は、日本語では「批判的な」と訳されてしまって、
マイナスのイメージのある単語ですが、英語だと、critical
writer が「評論家」で、critical reader が「批評力のある読者」
ですから、critical sense というのは、「きちんと批評できる力」
というような意味になるのでしょうね。

P:たとえば、車を例にすると、「なぜ、軽自動車は女性向きのデ
ザインのものばかり発売されているのだろう」のような疑問が浮か
ぶような学生を育てたいわけです。

Y:「問題意識が持てる人材」ってことだと思います。コンピュー
タを勉強することで、コンピュータに関して問題意識を持てるよう
になるということですね。

P:いま、世間では、ネットワーク時代だとか、マルチメディア時
代だとかいわれています。このような社会の中で、そこに潜む問題
を厳しく見られるのが、うちの卒業生です。ここで勉強する HTML
[注23]などは、卒業したら使うことはないかもしれないけれど、マ
ルチメディア時代の現実を学生時代に経験しておくことは、社会に
出てから critical thinking を持つ基盤になると思うのです。

Y:理系の学部の学生とはちょっと違った視点で、コンピュータが
あふれる社会を見られる能力ということですね。

P:「何のためのコンピュータの利用なのか」を常に考えて、利用
者にやさしいシステム提供を考えるのが、ここでの教育の目的の1
つです。これは、情報を提供する側のことで、情報を受け取る側と
しては、多くの情報から、うまく自分に必要な情報を選んで受け取
れる力を(ここでコンピュータを使いながら)学生時代に養ってほ
しいと思います。

Y:ピーターソン・ゼミの学生の卒論 [注24] のテーマに、
「Computer Networks and Services for People with
Disabilities(障害を持つ人々のためのコンピュータ・ネットワー
クとサービス)」というのがありますね。

P:たとえば、アイコンをクリックして機能を選択するという最近
のユーザー・インタフェースは、目の見えない方にとっては、役に
立たないものです。Mosaic に対する Lynx [注25] は、そのような
方を意識して作られています。また、目の見えない方以外にも、外
に出ていくのはつらいけれども、コンピュータを利用することで情
報を自由に交換できるという人たちも多く存在しているのです。

 技術(テクノロジー)を発展させていくためには、これらのこと
も考えなければいけないのです。「技術は value free(価値観に
は関係ない)」と考えている人も多いようですが、実際には、人間
の価値観に左右されているのです。

Y:分かります。テクノロジーが先行してしまって、それを使う人
間の方が困ってしまっているという例を多く見ていますから。

 ところで、ピーターソン・ゼミの学生は、自分の研究テーマに関
するドキュメントを、ノートルダムの WWW サーバーに登録するこ
とで、全世界に発信しているのですね。

P:はい。最初は、学内だけに閉じていましたが、最近公開しまし
た。学生時代に、information producer(情報発信者)としてのチャ
ンスを持つことは貴重な経験だと思います。受けるばかりではなく
発信側になることで、その楽しさと厳しさが経験できるでしょうか
ら。

 いまは、まだ日本のインターネットの世界は男性が中心で、うち
の学生(女性)が IRC [注26] などに顔を出すと、目立ってしまい
ます。近い将来、女性がどんどん活躍するようになればよいと思っ
ています。

I:そう、よしださんのような女性がどんどんうちの大学から出て
くれることを、われわれは期待しているのです。

Y:楽しみですね。今日は、貴重なお話をありがとうございました。



 [注1] WWWサーバー

WWW(World Wide Web)とは、インターネット上で情報をグラフィ
カルに、かつ対話的に共有することを目的として開発されたシステ
ムで、情報は各サイトのWWWサーバーから提供される。ちなみに、
ノートルダム女子大学のWWWページは、http://www.notredame.ac.jp/
である。


 [注2] DNS(Domain Name System)

各サイトは、ドメイン名で区別される。たとえば、ソフトバンクな
ら softbank.co.jp がドメイン名。ドメインの下に各マシンが IP 
アドレスで管理されており、これらを一括して管理するのが DNS 
である。


 [注3] USENET(ユーズネット)

語源はUSEr's NETwork。電子掲示板のことで、それぞれの掲示板ご
とにニュース・グループ名が付けられている。現在では、NetNews
と呼ばれている。


 [注4] フリー・アクセスの床

イーサネットのケーブルを引き回しやすいように、床の下に空間を
設け、その上にドブ板のように床板を敷設している床。


 [注5] 10BASE2

Thin Ethernet ともいう。イーサネットの線の形状の一つ。イーサ
ネットの線には 10BASE5、10BASE2 および 10BASE-T などがあるが、
10BASE2 は費用的にも敷設の手間も一番簡単にすむ。


 [注6] コミュニケーション・サーバー

ターミナル・サーバーともいう。分散しているコンピュータ資源を
共有することを可能にするもの。


 [注7] telnet

あるコンピュータから他のコンピュータに接続するためのプロトコ
ル。および、それを利用するための端末プログラムの名前。


 [注8] Mosaic

WWW(World Wide Web)の代表的なクライアント。X、Macintosh、
Windows 用にそれぞれソフトウェアが用意されている。


 [注9] UUCP

Unix to Unix Copy Protocol の略。UNIX システム間でファイルを
送るためのプロトコル。


 [注10] IP

Internet Protocol の略。インターネット上のネットワーク・プロトコル。


 [注11] ネット・ニュース

インターネット上の電子掲示板システム。


 [注12] LaTeX 

Leslie Lamport 氏が開発した TeX 用のマクロのパッケージ。TeX と
は、Knuth 教授が作成した電算写植用の組版システム。


 [注13] UNIXのアカウント

アカウント(account)には銀行の預金口座などの意味があるが、
「UNIXのアカウントを持っている」という場合は、UNIXのログイン
名を持っている(UNIXシステムが利用できる)という意味である。


 [注14] VOA(Voice of America)

米国国務省による海外の英語学習者向けのニュース放送。日本国内
でも、有線放送などで聴取可能。


 [注15] 各種設定ファイル

各種のソフトウェアの起動時に、自動的に読み込まれて環境が設定
されるファイルのこと。たとえば、ログイン時に読まれるのが
.login、Cシェル起動時に読まれるのが .cshrc である。


 [注16] シェル・スクリプト

実行したい一連のコマンドをファイルに保存したもの。シェルは、
プログラミング言語風の制御構造をサポートしているので、シェル・
スクリプトは単なるコマンドの列であると同時に、複雑な処理を行
うプログラムでもある。


 [注17] alias(エイリアス)

長いコマンド名と引数を入力する手間を省くために、あらかじめ別
名を設定しておく機能。既存のコマンドを別の名前で命名して実行
することもできる。ls コマンドを「dir」、cat コマンドを「type」
と定義すれば、MS-DOS 風のコマンド・セットのできあがり。


 [注18] rm -i

rm(削除)コマンドに「-i」オプションを付加すると、ファイルの
削除を実行するたびに、削除してよいかどうかを確認してくるよう
になる。iはインタラクティブ(interactive:対話的な)の略。


 [注19] noclobber

環境変数の一つ。「set noclobber」を実行すると、ファイルのコ
ピー時に上書きされる場合、上書きしてよいか聞いてくるようにな
る。


 [注20] Wnn

UNIXワークステーション上のかな漢字変換システム。「うんぬ」と
発音する。クライアント/サーバー方式を採用している。


 [注21] /usr/local/lib の下

正確には、" /usr/local/lib/wnn/ja_JP/dic/pubdic/usr/ユーザー名"
の下に、bio.h、chimei.h、computer.h、jinmei.h、kihon.h、
koyuu.h、setsuji.h、special.h、symbol.h、tankan.h、udという
11個のファイルができる(Wnn4の場合)。


 [注22] Linux(その前は 386bsd)

Linux も 386bsd も、ソースが公開されているPC-UNIX。ピーター
ソン先生は、Linux が出る前には 386bsd を使っていたそうだ。同
様のものに FreeBSD、NetBSD などがある。


 [注23] HTML(HyperText Markup Language)

ハイパー・テキストを記述する言語で、WWW の記述に使われている。
ハイパー・テキストとは、テキストに対して他のテキストや画像を
リンクさせることによって、対話的に読むことのできるテキスト。


 [注24] 卒論

この大学の英語英文学科の学生は、3年進級時に、英文学、言語学、
コミュニケーションの3つの分野から1つを自分の専攻として選び、
その分野の教官のゼミの授業を受ける。そして、ゼミの教官の指導
のもとで、2年間かかって自分の研究テーマについての卒業論文
(英文)を作成する。


 [注25] Lynx(リンクス)

WWW のクライアントの1つで、画像が表示できなくても、テキスト
画面さえあれば、その上で WWW のハイパー・テキストを操作する
ことができる。


 [注26] IRC(Internet Relay Chat)

メッセージを送りあって会話するというチャットの機能を、インター
ネット全体に広げて分散環境として実現したもの。チャネルが設け
られており、世界各国の参加者がそれに入って会話する。


以上


(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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